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夢の異邦人(エトランゼ)
第1章 夢の異邦人(エトランゼ)

「おいおい、たまにはちゃんとキスしろよ」

そう言って義孝は少しスネたフリをした。

有里と義孝は
もう5年ほどセックスレスの状態だった。

義孝は有里を求めたが、
有里の方から拒み続けた。

義孝に対する愛情が薄れた訳ではない。

ただなんとなく億劫になってしまった。

娘が成長するにつれ、
夜の営みは激しさを失くした。

ベッドのきしみ音や有里の喘ぎ声…
娘に聴かれたら、娘にのぞかれたら…
そう思うと夜の営みは静かになってしまい、
絶頂感が得られなくなった。

義孝は…男はそれでいいのかもしれない。
挿入し、亀頭に刺激を受けて射精してしまえば、
ある程度の満足感を得られるのであろう。

だが、有里は女だ。
パートナーの息づかい、
甘い囁き、 ときに激しい腰使いを
5感で感じる絶頂を求めた。

次第に有里は夫を拒み、夫婦別室に発展した。

時おり深夜、義孝の部屋から
女性の喘ぎ声が聞こえた。

AVでも見て自分で処理しているのであろう。

申し訳ない気持ちと同時に、
そうまでして性欲を処理する義孝が
汚らしく思えた。

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