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夢の異邦人(エトランゼ)
第9章 この世界の義孝
妻の有里が不倫相手と
マンションの部屋で対面していた頃、
夫の義孝と言えば…
「課長、過去の帳簿を探したいんですけど
手伝っていただけないでしょうか」
部下の大山留美子が義孝のデスクに近づいてきて
仕事を手伝って欲しいと依頼してきた。
「仕方ないなあ…
そういう事は一人で処理してくれないと困るんだよ」
周りの部下たちに聞こえるように
義孝はわざとらしく小言を言って
自分のデスクから書庫の鍵を取り出した。
「小一時間もあれば見つけられるだろう…
佐々木くん、しばらく頼んだよ」
義孝は係長の佐々木の肩をポンと叩いて
部屋を出て書庫に向かった。
後ろを大山留美子が小走りに追いかけてくる。
エレベーターの前に着くと
↓のボタンを押しながら
「定時の帰社時間まで待てないのか?」と
エレベーターの扉が開くのを待ちながら
留美子の方を見向きもしないで言った。
「だって…今すぐ課長が欲しくなったんだもん」
悪びれる事もなくそう言うと
少しずつ義孝との間合いを詰めて
手を伸ばすと、そっと義孝の手に触れた。
『可愛い奴め…』
エレベーターの扉が開いたので二人は乗り込み
義孝は留美子の背後に立って
防犯カメラの死角から留美子の尻を堪能するように
ゆっくりと撫でた。