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夢の異邦人(エトランゼ)
第9章 この世界の義孝

義孝が部下の大山留美子と深い仲になったのは
昨年の忘年会であった。

普段から留美子を気に入っていた義孝は
留美子が隣席になったのを良いことに
ついついお酒を勧めてしまった。

短大を卒業したばかりの留美子はお酒のペースが解らずに、義孝に勧められるまま次々と杯を空けた。
当然、一次会がお開きになる頃には
留美子は酔いつぶれてしまった。

「私の責任だ、私が彼女を家まで送り帰すよ」

二次会のカラオケは皆で楽しんでくれと
係長の佐々木に大枚を握らせた。
「ありがとうございます、思う存分に楽しませていただきます」
佐々木は最敬礼して大枚を受け取った。
「課長から資金をいただきました!
皆でカラオケを楽しみましょう!」
佐々木を先頭に次々と部下たちは席を立った。

誰一人「彼女を送り届けたら後で合流してくださいよ」とか「課長がいないと話にならないから彼女を送る役目は私が」とか気の利いた台詞を言うこともなく、義孝と留美子を置いてさっさと会場を出ていった。

『まあ、俺が係長の時も課長が二次会まで顔を出すのを煙たがったからなあ…』
いつの世も上司は部下からは煙たがられるのだろうなと義孝は寂しく感じた。

「さて、大山さん、立てますか?
タクシーを呼びましたから帰りましょう」

介抱するために留美子の背に腕を回して
腋に手を差し込んだ。
義孝の指に大山留美子の巨乳の膨らみを感じて
これぐらいの役得はあっても良いよなと思った。
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