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シャイニーストッキング
第12章 絡まるストッキング6      和哉と美冴2
 20 優しさ…

「今も…
 ストッキング…大好きなの?…」

 妖艶の目で、そう訊いてきたのだ…

 ドキドキドキドキドキドキ…

 僕は黙って頷いた。

「ふうん、そうかぁ、そうだよねぇ…
 そんなに簡単には変わらないわよねぇ…」
「は…はい…」
「まさかぁ、今も…」
 僕は慌てて首を振る。

 つまりは、今もバイトをしているあのファミレスの更衣室のゴミ箱漁りをしているのか…
 と、そんな意味で美冴さんが訊いてきたのであった。

「してません、してないですからっ」
 僕は慌てて全否定をする。

「うふ、そんなにムキにならないでよぉ…」
 妖艶な笑みであった。

「あ、アレは、美冴さんだけです、美冴さんのストッキングだったから…」
 僕は慌てて言い訳をする。

 確かに最初はとりあえずゴミ箱に捨てあったストッキングを全部拾ってはいたのだ、だが、途中から美冴さんのフレグランスの香りを認識し、その香りを頼りに漁っていたのであった…

「そうだっけぇ…」

 ドキドキドキドキ…

 いきなりの美冴さんの妖艶な変化と、責めに、ドキドキと胸の高鳴りが止まらない。

「じゃあ、今は…」
「あ、い、いちおう彼女がいます…」
「ええっ、そうなんだぁ…」
「は、はい…」
「ちゃんと青春はしてるんだねぇ…」
「あ、は、はい…」

 すると、美冴さんはスッと妖艶から、また再び凜とした表情に戻り
「よかったわ…」
 と、言ったのである。

「よかったわ…」
「えっ…」

「だって…」
 ずうっとこの大学生活中、わたしを探してくれていたんでしょう…
 せっかくの、貴重な大学生活が…
 和哉の青春が…
 台無しになっちゃっていなかったのかと心配していたのよ…
 と、言ってくれたのである。

 この時は、さっきまでの酔いからの妖艶な表情ではなく、凜とした真剣な眼差しであったのだ。

 そんな、心配してくれたなんて…

「えっ、そ、そんな…」
 思わず感嘆してしまう。

「うん、昨夜、電話を切ってから本当に心配していたの…
 だって、ずうっと探してくれていたんでしょう…」
 だから駒沢大学入学で…
 だからあのファミレスで…
 と、言ってきたのだ。

 ああ、美冴さん…

 僕はそんな美冴さんの言葉に…

 その言葉の裏から感じる優しさに…

 感動をしていたのである。

 



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