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シャイニーストッキング
第3章 黒いストッキングの女2 美冴
17 声の響き
「佐々木です、どうぞお座りください」
ようやく私に直接話し掛ける彼女の声を聞いた。
その声は顔の表情通りの、また仕事上での自分の立場をわきまえ、その自信からくるのであろうしっかりとしたトーンで切れのある発音、そして決して相手に不快を与えず、かといって出しゃばり過ぎない、まさにこうした人の上に立つ立場に適した声の響きだと感じられる。
訛りは感じられないから東京出身なのかなぁ
このしっかり自分を主張してくるような目つき、そして自信溢れるこの声、きっとプレゼンとか得意そうだ…
私は初対面の人に接すると瞬時に相手の性格的なものや、人となり等を想像したり、読んだりする癖があった。
そして今回もいつもと違わずに、この一瞬に色々と想像してしまっていた、ましてや以前からのこの鉄の女こと佐々木課長の視線を意識しており、それ以来、彼女のことを興味深く思っていたからである。
きっと子供の頃から挫折なんてしたことないんだろうなぁ
想いのままに生きてこられた匂いもするなぁ…
そんなことを考え、誰が付けたのか、まさに鉄の女とはよく言ったもんだ、と思ってしまう。
ただ、それ位彼女は理知的で、綺麗で、自信に満ち溢れ、かつ、相手には不快を与えない、素敵な女性である、との評価をこの僅かな時間に私自身に植え付けた。
「はい、失礼します」
私は対面に座る。
確か、私の前にも四人ほど面談していたみたい…
今回のこの面談の事前の情報は何も聞いてはいなかった。
ましてや、ここに派遣されて半年近く、こんな個人的な面談はしたことがなかった。
ま、すぐにわかる、でも、彼女の顔を見るとそんなに悪い話しではなさそうだ…
でも、私はそんなことはどうでもいいとも思っていた。
なぜなら、私は仕事に対して情熱的なものは一切、持ってはいないのだ。
私にとっての仕事とはある意味、暇で余計なことを考えないようにする為の時間潰し的な手段の一つであると捉えていた。
それに必要最低限な金銭を得る為には仕事をするしかなかったのだ。
そしてなにより今の私にとって一番大切なことは、仕事をすることによって、この社会の中での自分の存在感を認識できるということなのであった。
だから私にとっての興味の対象は、仕事のことではなく、この鉄の女のことなのだ…
「佐々木です、どうぞお座りください」
ようやく私に直接話し掛ける彼女の声を聞いた。
その声は顔の表情通りの、また仕事上での自分の立場をわきまえ、その自信からくるのであろうしっかりとしたトーンで切れのある発音、そして決して相手に不快を与えず、かといって出しゃばり過ぎない、まさにこうした人の上に立つ立場に適した声の響きだと感じられる。
訛りは感じられないから東京出身なのかなぁ
このしっかり自分を主張してくるような目つき、そして自信溢れるこの声、きっとプレゼンとか得意そうだ…
私は初対面の人に接すると瞬時に相手の性格的なものや、人となり等を想像したり、読んだりする癖があった。
そして今回もいつもと違わずに、この一瞬に色々と想像してしまっていた、ましてや以前からのこの鉄の女こと佐々木課長の視線を意識しており、それ以来、彼女のことを興味深く思っていたからである。
きっと子供の頃から挫折なんてしたことないんだろうなぁ
想いのままに生きてこられた匂いもするなぁ…
そんなことを考え、誰が付けたのか、まさに鉄の女とはよく言ったもんだ、と思ってしまう。
ただ、それ位彼女は理知的で、綺麗で、自信に満ち溢れ、かつ、相手には不快を与えない、素敵な女性である、との評価をこの僅かな時間に私自身に植え付けた。
「はい、失礼します」
私は対面に座る。
確か、私の前にも四人ほど面談していたみたい…
今回のこの面談の事前の情報は何も聞いてはいなかった。
ましてや、ここに派遣されて半年近く、こんな個人的な面談はしたことがなかった。
ま、すぐにわかる、でも、彼女の顔を見るとそんなに悪い話しではなさそうだ…
でも、私はそんなことはどうでもいいとも思っていた。
なぜなら、私は仕事に対して情熱的なものは一切、持ってはいないのだ。
私にとっての仕事とはある意味、暇で余計なことを考えないようにする為の時間潰し的な手段の一つであると捉えていた。
それに必要最低限な金銭を得る為には仕事をするしかなかったのだ。
そしてなにより今の私にとって一番大切なことは、仕事をすることによって、この社会の中での自分の存在感を認識できるということなのであった。
だから私にとっての興味の対象は、仕事のことではなく、この鉄の女のことなのだ…