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シャイニーストッキング
第12章 絡まるストッキング6      和哉と美冴2
 219 和哉の存在感

 わたしは寝落ちしている和哉を起こさぬ様にゆっくりとベッドから起き上がり、露天風呂に入る。

 今は、午前6時55分…

 朝食は7時30分にお願いをしてある…
 
 今日は起きてから東京へ帰るのだ、だから運転に支障のないようにギリギリまで寝かせてあけよう…

 わたし自身、ヤり過ぎて腰がガクガクである、いくら若い和哉だって相当疲れている筈なのだ…
 と、露天風呂に肩まで浸かり、すっかり昼間の明るさの遥か水平線の彼方まで晴れ上がっている眼下の太平洋の海を眺めながらそう思っていた。

「ふうぅ…」
 露天風呂のお湯が気持ちよかった。

 和哉か…

 確かにわたしは和哉にとっての永遠の女という存在になった事には違いない…

 だが、わたしにとってのこれからの和哉の存在は、存在感というモノはどうなのだろうか…

 わたしには絶対的存在感の『ゆうじ』という男が心の奥に常に居る…

 そして今は健太という存在も確立された…

 そこに和哉の存在感…は、果たして心のどこかに入り込む余地はあるのだろうか…

 ただでさえ、まだまだ自律神経の不安定な昂ぶりという精神的な不安要素が治ったとは言い切れない…

 そんなまだまだ不安定なわたしの心の中に3人目の和哉の入る場所があるのだろうか…

 確か…

 あの『黒い女』からの覚醒のきっかけは、通勤途中の電車内での大学生風の青年のわたしの黒いストッキング脚を見つめてきたフェチな視線がきっかけであったのだが…

 そしてその視線に和哉を思い浮かべ、思い返しての覚醒といえた…

 うん、いや……待てよ…

 確か、あの友達になる以前の佐々木ゆかり部長、いや、あの時は課長であったのだが、その当時意識していた彼女からの頻繁な意味不明の熱い視線…
 それを感じて和哉を連想、想起したんだっけ…

「うーん…」
 露天風呂に入りながら考え込む。
 ぼんやりと眺めている眼下に広がる太平洋の水平線の彼方には、おそらく北海道へと向かっているのであろう大きなフェリーが見えていた。

 あっ、ああそうか…

 和哉という存在感が入り込む余地があるのか…

 ということは…

 今更…

 問題ではないのだ…



 


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