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第3章 黒いストッキングの女2　美冴

　33　本当の本音

　「絶対って…、わかったから、そんな怒るなよ」
　
　なぜかゆかりはムキになってきたのだ。
　やはり色々と話してはくれているが、やはり本当の本音は私には隠しているのだろうと推測できた。

　「お、怒ってるわけじゃ…」
　動揺が強いらしく、彼女は言葉が続かない。

　「あ、そうだノドがかわいたなぁ、何か飲むか」
　それは、私の咄嗟の機転であった。

　もうこの話しを切り換えなければいけないと思った、それはこれ以上この話題を続けていけば、ゆかりが心の中に隠している本当の本音まで話させてしまうかもしれないと思ったのだ。

　恐らくその隠している本音とは、黒い彼女の魅力や素晴らしい経歴に対するゆかりの嫉妬心なのだと思う、そしてその隠している本音までを吐露させてしまったら、きっと今までのゆかりというプライドが壊れてしまうのではないか…

　私はそう感じたのだ。

　誰でもそんな嫉妬心のようなネガティブな心は必ず隠し持っているはずである。
　できればそんな想いは外には曝したくはないはずなのだ、そして誰もがそれらを隠す事でプライドや自尊心等を保っているのだと私は思っている。

　このままではせっかく饒舌になって可愛いくなっているゆかりがかわいそうだ…
　
　だから私は話題を変え空気を換えたかったのだ。
　ただ、私の本音はその黒い彼女に対してもの凄く深く興味を持ってしまったことであり、そして本当に一度会って話しをしてみたいと思ったのだ、だが、もう今となってはそのことには触れることも出来なくなってしまったと思う。

　まあ、仕方がない、今となってはそれはそれでどおってことはない事だ、黒い彼女の事などそのうち忘れるさ…

　そうなのだ、ここ最近の多忙さに、私のみならず、ゆかりだって忘れていたはずなのだ、ただ、今回たまたまリストアップされてまた現れただけなのた。

　彼女は断ったんだ、また、それで忙しさに紛れて忘れてしまうだろうな…

　新事業が始まったら、暫くは今以上に余計なことなど考えられない位にかなり多忙になるはずなのだ。
　そして業務自体も落ち着くまでにはかなり時間も掛かるはずだし、次から次へと問題も起きる事が目に浮かぶ、だからそんな事は忘れてしまうはずである。
　
　そうさ、そのうち忘れちゃうさ…

　そんなことを思いながら私は冷蔵庫を開ける。