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シャイニーストッキング
第13章 絡まるストッキング7      本部長大原浩一
 256 妖艶…

「はぁ、ごちそうさまぁ…
 美味しかったし、楽しかったわぁ…」
 ノンはさんざん律子と楽しそうに会話をし、飲み、食べ、そして食後のコーヒーを飲みながらそう言ってきた。

「これ以上いると本当にお邪魔ムシになっちゃうからさぁ、そろそろわたしは退散するわぁ…」

「そ、そんな、お邪魔ムシなんて…
 色々なお話しが聞けて本当に楽しいのに…」 
 慌てて律子はそう言葉を返す。

「ううん、いいのよ、これ以上は…ね」
 
「…そうですかぁ、もっと聞きたかったなぁ…」
 すると、律子は本当に残念そうに呟いた。

「うん、せっかく仲良くなれたんだからさぁ、またさぁ、あ、今度は東京で会いましょうよ」
 ノンはそう明るく言う。

「あ、はい、そうですね、ぜひ近いうちにお願いします」

 そう返す律子と、ノンの二人の顔を見ながら私は…
「おいおい…」
 と、そう呟くのが精一杯であったのだ。

 なぜならば、二人の会話を黙って聞いていたら、まるでお互いに情報交換をしているかの様に
 ノンは昔の私とのことを…
 そして律子は現在の私の主に仕事中心の彼女の知りうる取り巻く環境のことを…
 二人で夢中になって話していて、私のツッコむ余地が全く無かったからである。

 そしてノンから律子には、すっかり付き合い始めの高校生時代の頃から、大学進学してバックレてしまった経緯までの辺りを面白おかしく話されてしまったのだ。
 
 そして…
「じゃあねぇ、こうちゃん…
 あっ、こっぺぇ、ごちそうさまぁ…
 またねぇ…」
 ノンはそう最後まで笑顔のままで、帰ったのである。

「ああ楽しかったわぁ」
 律子はノンを見送って、そう言いながら、私の腕に自らの腕を絡ませてきた。
 そしてその律子の表情がさっきまで浮かべていた満面のにこやかな笑みとは打って変わり、今度は妖艶的といえる様な妖しい魅惑の笑みを浮かべて私を見てきたのである。

 そんな豹変した律子の笑みに、私の心は一気にドキッと昂りを感じてしまう。

 ああっ…

 な、なんて…

 そして一気にドキドキと、急激に昂りと、疼きを自覚してきたのである。

 なんて妖艶な艶気なんだ…
 
 さっきまでの律子とはまるで別人だ…

 また再び、夜の銀座の女という仮面を被ったみたいだ…

 いや、違う…
 




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