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シャイニーストッキング
第3章 黒いストッキングの女2 美冴
 50 理由

 「こんなに毎日暑いのによくパンスト穿いてられるねぇ、しかもいつも黒で…」
 この前、また来宅していた姉がそう言っていた。

 「そお…、私は平気だけど…」

 確かにパンティストッキングは夏場は股間の辺りや爪先等が特に蒸れる傾向はある、しかし私はそれ程汗かきではないし、股間も爪先等の蒸れもそこまで気にならなかった、それより、腿の密着や、脚を組んだ時の密着した部分の汗の感触の方がとても気になり嫌であったのだ。
 だがこのストッキングのナイロン繊維はこの汗を吸ってくれるのだ、穿いていればこれらの部分の汗を吸い取りサラリとしてくれる。
 だから私にとってはストッキングは欠かせない存在であったのだ。
 それにストッキングにたまらなく魅了される男達の存在にもよく理解しているつもりである。
 そして常用で穿くようになってから私はそんな熱い視線を意識したり、受け止めたりしていたし、私自身もストッキングを穿くことにより自らの脚が魅き立つことを自覚していたのだ。
 ただ、黒にこだわる理由は他にあった。
 そしてその理由は他人には多分理解できない事なので、このように姉や近しい人に訊かれてもたいがいは無視するか微笑んで誤魔化していたのだ。
 こんな理由があるからこそ暑さも関係なく穿いていたのだが、ここ最近の素足、生足ブームには少し理解できない部分もあった。
 
 私はそんな姉とのやり取りを思い浮かべながら通勤電車に乗っていた。
 私の所属している損害保険系の部署の殆どが事故や故障時の電話での緊急対応が主な仕事となっている、そして24時間体制で3分割のローテーションを組んでいる。
 勿論、夜間は給料が昼よりは高い、だから夜間専門に仕事をしている人も少なくはなかった、そして私は最低限に稼げればよいので昼勤務専門であったのだが、中番勤務に急きょ穴が出来てしまい、頼まれて今日は正午過ぎから出勤することになったのだ。
 平日昼間の電車は比較的空いていて私は久しぶりに座っていた。
 真夏真っ盛りの空いている電車内はエアコンが効き過ぎて寒いくらいである。
 そして座席に座り脚を組み換えた時に、ふと、対面に座っている男の、私の脚に向けている熱い視線に気付いたのだ。

 あ、見られてる…

 その脚に対する熱い視線も、その熱い視線を意識する事も久しぶりのことであった。
 
 
 

 
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