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シャイニーストッキング
第14章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり
 12 その居酒屋

 ふうん、二人はこれからデートかぁ…
 大原本部長がゴルフでいない今、少し羨ましく感じてしまう。
 
「ゆかり室長、じゃあお願いしまぁす」
 すると、越前屋さんがそう声を掛けてきたのだ。
 その顔には満面の笑みを浮かべていた。

 そうそう、わたしは仕事だ、面談だ…

「はい、越前屋さん、じゃあ、いきましょうかぁ」
 そしてわたし達は会社の外でタクシーを拾い、面談の会場にした越前屋さんの叔母さんの居酒屋へと向かう。

 コールセンター部は西新宿にある、そして明日から大型連休というせいもあるし、夕方というせいもあるのか、僅かな距離の四谷へ向かう道路は混んでいた。

 わたし達は待ち合わせの7時ぎりぎりに到着する。

 その越前屋さんの叔母さんの経営している居酒屋は、わたしの予想を上回る大きな店であった。
 居酒屋というよりは料理屋に近い大きさである。

 15階建てのテナントビルの1階と2階に店を構え、個室や宴会場は2階を使っていたのだ。

「すごい大きなお店ねぇ…」

「そうですかぁ…」
 越前屋さんはそんなピント外れな返事をしてくる。

「居酒屋っていうからさぁ、てっきり、もっと小さくて、ガヤガヤしてるのかと思っていたからさぁ…」

 あ、そうだ、連休明けの飲み会にちょうどいいかも…

 わたしは2階の個室に案内されながら、そう思っていた。

 ちょっと健太に話してみよう…

「こちらです…」

 そして個室の戸を開く。


 そこには刈り上がったベリーショートの髪型の、理知的でキリッとした顔立ちの美女が、やや緊張した面持ちで立っていた…

「初めまして、伊藤敦子です…」





 
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