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シャイニーストッキング
第14章 絡まるストッキング8 部長佐々木ゆかり

15 理由 ①
「…理由、気概が知りたいの…」
わたしはそう尋ねる。
「あ、はい、理由ですか…」
伊藤敦子さんはそう呟き、一瞬宙を向いた、そしてすぐにわたしの目を見つめてきたのだ。
わたしはそんな伊藤さんの澄んだ透明感のある、美しい瞳に見つめられた瞬間に、一瞬、ドキッと高まって、いや、昂ぶってしまう。
えっ、なに、何だろう…
その昂ぶりに、なぜか不惑な想いが一瞬過る。
「え…と、はい、そうですねぇ…
理由は…」
そして、伊藤敦子さんは話し始めてきた。
…はっきり言いますね、きっかけは二年半前の『阪神淡路大震災』と、あの直後に都内で起きた未曾有のテロ事件の
『地下鉄毒ガス事件』なんです。
まず『阪神大震災』で、母方の祖父母を亡くし、いとこが地震で自宅を半壊したんです。
そしてそのほぼ二カ月後に起きたあのテロ事件の『地下鉄毒ガス事件』で、正確には無被害だったのですが、たまたまなだけで、本当ならば父親が危うく被害に遭うところだったのです。
なぜなら、あの地下鉄駅は父親が毎日通勤に使っていた駅で、あの事件の日はたまたま出張中で乗ってなかったただけの、正に『九死に一生を得る』という事実があり、あの二つの大災害と大事件がほんの僅かな、わたしの指先の距離で起きた感覚を覚えたんです。
それまでのわたしは、何の不自由もなく、何の心配もなく、そして恵まれて、平和に、のんびりと穏やかに毎日を過ごしていました。
だけど今回突然起きた『阪神大震災』と『地下鉄毒ガス事件』はそれまでのわたしにとって他人事的な『対岸の火事』ではなく、正に足元で起きたリアルな大災害と未曾有の大事件という出来事となってしまったんです。
そしてそれらの出来事は、それからのわたしの意識や考え方、そして生き方さえも劇的に変えたんです…
「…理由、気概が知りたいの…」
わたしはそう尋ねる。
「あ、はい、理由ですか…」
伊藤敦子さんはそう呟き、一瞬宙を向いた、そしてすぐにわたしの目を見つめてきたのだ。
わたしはそんな伊藤さんの澄んだ透明感のある、美しい瞳に見つめられた瞬間に、一瞬、ドキッと高まって、いや、昂ぶってしまう。
えっ、なに、何だろう…
その昂ぶりに、なぜか不惑な想いが一瞬過る。
「え…と、はい、そうですねぇ…
理由は…」
そして、伊藤敦子さんは話し始めてきた。
…はっきり言いますね、きっかけは二年半前の『阪神淡路大震災』と、あの直後に都内で起きた未曾有のテロ事件の
『地下鉄毒ガス事件』なんです。
まず『阪神大震災』で、母方の祖父母を亡くし、いとこが地震で自宅を半壊したんです。
そしてそのほぼ二カ月後に起きたあのテロ事件の『地下鉄毒ガス事件』で、正確には無被害だったのですが、たまたまなだけで、本当ならば父親が危うく被害に遭うところだったのです。
なぜなら、あの地下鉄駅は父親が毎日通勤に使っていた駅で、あの事件の日はたまたま出張中で乗ってなかったただけの、正に『九死に一生を得る』という事実があり、あの二つの大災害と大事件がほんの僅かな、わたしの指先の距離で起きた感覚を覚えたんです。
それまでのわたしは、何の不自由もなく、何の心配もなく、そして恵まれて、平和に、のんびりと穏やかに毎日を過ごしていました。
だけど今回突然起きた『阪神大震災』と『地下鉄毒ガス事件』はそれまでのわたしにとって他人事的な『対岸の火事』ではなく、正に足元で起きたリアルな大災害と未曾有の大事件という出来事となってしまったんです。
そしてそれらの出来事は、それからのわたしの意識や考え方、そして生き方さえも劇的に変えたんです…

