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シャイニーストッキング
第4章 黒いストッキングの女3 ゆうじ
 5 ゆうじ ①

 「俺さぁ、そこのサーフショップとカフェバーでこいつにこき使われてっからさ、遊びにきなよ」

 「ええー、ゆうじさん、こき使われるはないっスよぉ」

 久しぶりに楽しいやり取りである。
 
 「は、はい…」

 これがゆうじとの出会いときっかけであった。


 沢村悠司(ゆうじ)と私は、このあと恋に落ちる。
 そして私に本当の愛を教えてくれた男であった。
 

 私はこの旅行代理店でのノリくんとゆうじとのやり取りの後、仕事を終えてから誘われるままに早速カフェバーに顔を出したのだ。

 「あ、いらっしゃい」

 「こんばんは、早速きちゃいました」

 「うれしいよ、ありがとう」

 今度は雰囲気のある店内のカウンターで私がお客として彼、ゆうじと向き会うことにドキドキしていた。

 「なに飲む…」

 「あ、じゃ、コーヒーで…」

 「えっ、酒飲みなよ、飲めるんでしょ」

 「え、あ、まぁ…」
 私は頷く。

 「カクテル作ってやるよ…なにがいいかなぁ、うーん」
 彼はそう言って私の顔を見つめてきた。
 私は恥ずかしくて下を向いてしまう。

 こんなに気持ちが昂ぶったのは離婚以来初めてのことだった。
 離婚してからまだ約3か月、ようやく気持ちの整理がついてきたところであったのだ。

 「どうぞ」

 それはロングカクテルで、グラスの淵の半分に塩が塗してあった。

 「塩は好きずきのお好みで…」

 「あ、おいしい」

 ウォッカベースで、グレープフルーツジュースとトニックウォーターで割ってある、微炭酸のさっぱり味で美味しいカクテルであった。

 「ソルトリックって言うカクテルだよ」
 そしてそれ以来このカクテルは私の定番となったのである。

 この優しいカクテルの甘さに私の心は緩み、また、彼の優しく穏やかな話し方や、声が、久しぶりに心をほぐしてくれたのだ。
 
 本当に久しぶりに楽しい夜であった。
 
 私はこの夜から、この「波道」に、いや、ゆうじに通うことになったのである。

 お店はゆうじとオーナーのノリくんと、2人のバイトくんで回っており、カウンターでの常連さんも楽しいお客ばかりだった。
 そしてゆうじはサーファーとしては超一流のトップアマチュアらしく、彼を慕ってのサーファーの客もかなり多かった、そして彼目当て女性客も多かったのだ…


 

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