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シャイニーストッキング
第4章 黒いストッキングの女3 ゆうじ
 16 ゆうじ ⑫

 少し心にもゆとりができてこの部屋を見回した。
 ゆうじの部屋はいわゆる1LDKである、6畳のベッドルームと、9畳のカウンターキッチンのリビングだ。
 この部屋の中には驚くほど何もなかった、必要最低限のこのベッド、2人用のダイニングテーブルセット、冷蔵庫、テレビ、そして部屋の端に洗濯物が干してあるからバスルーム脇にでも洗濯機があるのだろう。
 後は少し乱雑にサーフィン関係の雑誌が散らばっている。

 なんか生活の匂いがあまりない…

 「あ…」
 いや、あった。

 ベッドルームの隅に女性用と思われるTシャツと下着が丸まってあったのだ。
 さっそくの女の影に思わず笑ってしまう。
 この必要最低限しかないこの部屋を見て彼の性格を私なりに想像していく、それもまたこの新しい出会いと巡り合わせの楽しみなのかもしれない。

 そしてこの部屋にほのかに漂うムスク系の甘いお香の匂いと、煙草の匂い、これが私にとってのゆうじという存在の匂いとなっていったのだ。

 「泊まっていけば」

 「どうしようかな」

 「美冴のマンションも近いんだよね、だったら明日の仕事も間に合うじゃん」

 「うん、じゃあそうする」

 「やったぁ、じゃあさ、もう1回しよっ」

 「えっ」

 そう言って彼は私を抱き寄せまた愛してくれた。

 幸せな気持ちに包まれていく…

 こうして私達は付き合うことになるのだが、彼のことを知れば知るほど魅力に惹かれ、魅了され、驚き、そして呆れることもあったのだ。
 
 彼はアマチュアとはいえ、国内屈指の超有名な超一流のトップサーファーなのだそう。
 だから勿論モテまくりであった。
 そんな彼にこうして愛されることになったのだ、順番待ちでいえば割り込みと同じといえ、だから彼を信じるしかないのだ。。
 ある意味幸せな想いと思っていたから、彼のことを信じることにした。
 だが、しかし、すぐに、その驚くべき現実を知ることになる。


 「ゆうじさんの波乗りはやばいっスよぉ」

 彼は次の日にはノリくんにだけは私とのことは報告したらしく、それから店でことある毎に彼は色々な話しをしてくれるようになったのだ、が、基本、女性関係以外の話しであった。
 でも私はついこの前までは彼の事は全く知らないのである、だから何でもいいから彼の事を知りたかったのだ。





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