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シャイニーストッキング
第14章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり
 194 まるで…

「あぁ、部長、今、馬鹿にしたっすね」

「え、いや、してないわよ」

 本当はしていた、いや、決して馬鹿にした訳ではなく、不意に昨日聞いた杉山くんの『シロウト童貞』である所以の過去の彼なりのトラウマ的な思い出や、帰り際に不意に、タクシーの後部座席に座った彼にわたしがキスをした事で…
 絶対に昨夜、わたしを思って自慰を、オナニーを、したであろう事を一瞬の内に想い浮かべたのである。

 ふ、昨夜、絶対にしたわよね…
 と、わたしはそんな想いを目に込めて、杉山くんを見つめていく。

「あ、い、いや、したっすよ」
 すると杉山くんはそんなわたしの想いが伝わったかの様に、慌てた顔をして、目を逸らしながら、そう言ってきた。

 一瞬、『したっすよ』って言ったので『昨夜、自慰をした』って事かと思ってしまいドキッとしたのだが、話しの流れで今の馬鹿にした…
 って事だとわかったのだが
「えー、してないってばぁ…」
 とりあえず、そう言い返した。

「いや、間違いなくしたっすよ」
 杉山くんは笑いながら言ってくる。

 すると、鈴木くんの彼女である松山美咲さんが…
「ええっ、杉山くんと佐々木部長って、そんなに仲良しなんですかぁ」
 と、驚きの声を上げてきたのだ。

「えっ…」
 そんな彼女の声に、逆にわたしは反応してしまう。

「え、いや、仲良しじゃないし…」
 慌てて否定する。

「ええ、でもぉ、なんかぁ、すごく仲良しそうでぇ…
 まるでぇ…杉山くんがぁ…」

 え、杉山くんがなに?…
 一瞬ドキッとしてしまう。

「まるでぇ、杉山くんがぁ…
 弟みたいに見えちゃいますぅ」

「えっ、お、弟?、弟っすかぁ…」
 と、杉山くんが直ぐに反応してきた。

 うわ…
 わたしはそんな彼女の言葉にザワっとしてしまった。

 ええ、わたしったら…

 杉山くんとじゃれ合いをしていたのか…
 その事に驚き、ザワついてしまう。

 そんな…

 わたしはすっかり杉山くんに気を許してしまっているのか?…
 本当に驚いてしまっていた。

 そしてそれと同時に、こんな会話のじゃれ合いなんていつ以来なんだろうか?…
 と、戸惑いも覚えていたのだ。





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