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シャイニーストッキング
第14章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり
 195 釣り合い…

 こんな会話のじゃれ合いなんてしたのは、いつ以来なんだろうか?…
 と、戸惑いも覚えていたのだ。

「いや、弟じゃなくってぇ、彼氏っしょ」
 杉山くんは笑顔で彼女に話していく。

「いやいや、それは無い、あり得ないし、絶対に見えないからぁ」

「そんなこと…」

「そんな事あるわよ」
 と、ビシッと彼女は言ってくる。
 だが、笑顔だ。

「見なさいよ、今日の佐々木部長はハイブランドなブラウスに、このスタイル抜群のワイドパンツ…
 それに引き換え杉山くんは…」
 そう言いながら上から下まで杉山くんを眺めていく。

「そのヨレヨレのダンガリーシャツにチノパン、そしてスニーカー…
 全然釣り合わないでしょう…
 まるで大人と大学生みたいにしか見えないわ…」

 確かに、言い得て妙であった…

「あ、いや、そんな…休みだし…」
 ボソッと呟く。

「杉山くんとだったら、まだ、創(そう)くんの方が釣り合うわ」
 と、鈴木くんを見る。

 あ、確か鈴木くんは創って書いて『はじめ』って名前だったか…

「年齢だって近いし…」

 鈴木くんは黒いカッターシャツにやはりダークグレーのパンツでシックに決めていた、今夜、これからデートなのもあるのだろうが…

 そして彼は確か28歳、わたしは30歳、釣り合う…とは、いえる。

「おい美咲、そのくらいにしておけよ」
 と、鈴木くんは彼女を制する。

「くそぉ、ダメかぁ、ここんところ部長と一緒だったから、いい感じな筈なんだけどなぁ」
 と、ふざけながら悔しがってきた。

「いやいや、いい感じは無いから…」
 と、つい、わたしもそう返してしまう。

 どうも杉山くんのノリはわたしに心地よいらしく、そう、会話に乗ってしまうみたいであった。

 そして、こんなことは初めてであったのだ…

 相性がいいのだろうか?…

 いや違う…

 わたしが変わったのだ…

 明るくなったのだ…

「じゃあ、そろそろ…」
 すると鈴木くんはそう言ってきた。
 さすがにちゃんとわきまえているようである。
 
 だが…




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