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シャイニーストッキング
第4章 黒いストッキングの女3 ゆうじ
 22 ゆうじ ⑱

 ゆうじは29歳の時に気持ちを切り替える為、オーストラリアからニュージーランドへと約1年間のサーフトリップをした。
 その時のニュージーランドで彼女、モデルのMIKACOと出会ったそうだ。

 実は当時20歳のMIKACOは、13歳でモデルデビューをした当初から抜群の人気を誇り、そして若さゆえに天狗になってしまった。
 更に取り巻きの不純な男関係のせいでマリファナ等の薬物に溺れ始めてしまい、そんな彼女の噂が巷に流れ始め、スキャンダルになりそうになっての逃避と薬抜きの為のニュージーランド留学だったそうである。
 そしてゆうじはそのニュージーランドで彼女とかなり親密になったのだが、先に彼女が帰国をし、そこからは音信不通になったそうだ。
 そのしばらく後にゆうじも帰国し、ノリくんと出会い、こうして心落ち着かせ、現在のようなサーフショップ店長兼カフェバーのバーテンダー兼、フリーのサーファーとなったのだという。

 そしてちょうど1年前、スポンサー契約関連のパーティーで、会場の六本木のディスコで偶然にも彼女と再会し、昨夜までに続く関係に戻ったそうなのだ。

 「かなり怒ってたけど、ちゃんと別れたよ…」
 確かにリビングのテーブルの上には合鍵が置いてある。

 そしてそう言った彼の目は、例の碧い色を放っていた。
 まだ彼との関係は僅かに2週間程しかないのだが、私にはこの紺碧の海のような碧い瞳になる時は心に正直な時なのだとわかっていたのだ。
 
 「うん…」
 彼が心配そうにその碧い瞳で覗き込む。

 「うん大丈夫、信じているから…」

 「美冴っ…」
 彼はそう言って抱きしめてきた。

 そうなのだ、彼は、ゆうじは、海にだけは嘘はつかないはずなのだ、あの大きな紺碧の碧い海にだけは…

 そして私にキスをしてくる。

 受け入れよう、この男の全てを受け入よう、そして彼は私の最後の男なのだ、これからの生涯を懸けて彼を愛していこう…

 「あぁ…抱いて、愛して…」

 「みさえ…」

 彼は私をきつく抱き、唇から熱い想いが流れ込んでくる。

 ああ、ゆうじ…

 彼の唇からの想いに心もカラダも融けていくようであった。

 しかし私は気づいていたのだ。

 枕の上にウェーブのかかった髪の毛が落ち、ベッドの下に黒いストッキングが丸まっていることを…
 
 



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