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シャイニーストッキング
第14章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり
 260 8月12日火曜日午前11時

 ブー、ブー、ブー、ブー…


「…………ん…んん……」
 わたしは、枕元に置いてある携帯電話の着信のバイブレーションの振動で目が覚めた。

「あ…ぅ…は、はい…」
 どうやら完全に熟睡していたようで、なかなか意識がハッキリしないのだが、なんとか携帯電話を掴み、電話に出る。

『もしもしゆかりさん…わたしです、美冴です』
 その電話は美冴さんからであった。

「え…、あっ、は、はい…」
 わたしは、昨夜、禁断の慰みをしながら脳裏で何度も何度も再生していた、あのややハスキーな美冴さんの声を携帯電話の受話器から直に聞いた瞬間に、一気に目が醒めたのだ。

『あ、寝てましたか、ごめんなさい』
 と、美冴さんはそんなわたしの様子を察したのか、そう言ってきた。

「あ、ううん、だ、大丈夫、ただ、昨夜ちょっと寝るのが遅かったの…」
 と、慌てて言い訳をするのだが…
 この美冴さんのハスキーな声を聞いて一気に目が醒めたどころか、ドキドキと騒めきが急激に高鳴ってきてしまっていた。

 そしてわたしは慌てて時計を確認する…
 時刻はちょうど午前11時であった。

 元々、今日、美冴さんが電話を掛けてくれるとは云ってくれていたのだが、わたしはてっきり夕方以降だと思っていたから、予想外の時間といえる…
 のだが、早いには越した事はなく、大歓迎であったし、昨夜も連日、連夜の自慰行為をしての寝落ちではあったのだが、約9時間近くも熟睡できていたのだ。
 そして意識の覚醒と共に、一気にテンションも上がってきた。

『実は、今、茨城県の港町の魚市場にいるんですけど…
 カニとか、海鮮系は大丈夫かなぁって…』

 確か、例の亡くなった元彼のお墓参りに茨城県の海沿いの街に行くって云っていた…

「えっ、カニっ、大好物です」
 と、わたしはすかさず返事をする。

『じゃあ、買って帰りますから、ゆかりさんのお宅に直行してもよろしいですか?』
 そう美冴さんは訊いてきたのだ。

「えっ、あ、は、はい、大丈夫ですよ」

 えっ、まさか、ウチに来てくれるのか…

『あ、はい、じゃあ、直行して伺いますね…
 ナビ検索で伺いますから住所教えてくれますかぁ』

 なんとなく美冴さんの声も、いつもよりかなりテンションが高い感じに聞こえてきていた…




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