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シャイニーストッキング
第14章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり
 263 黄色い向日葵の天使

『ゆかりさん、少し早く着いちゃいましたぁ…
 今、マンションのエントランスにいますぅ』
 その着信は、やはり、いつもとは違う、ややテンション高めの美冴さんからであった。

「あ…
 う、うん…
 じゃあ、今直ぐに下りていきますね」
 わたしは慌ててそう言って電話を切った。

 もう、いいや…

 わたしは取り急ぎ、シャワー上がりのいつもの部屋着である着古したTシャツとハーフパンツ姿のままで、美冴さんを迎えにエレベーターに乗ったのである。

 まだドキドキしていた…

 美冴さんがウチに来る、いや、来たのだ…

 エントランスホールにいるのである…

 チン…
 エレベーターのドアが開く。

「あっ」

 ドキドキドキドキ…

 目の前に、黄色い天使が微笑みながら立っていた…

「ゆかりさんこんにちは…
 うふふ…来ちゃいましたぁ…」
 
 そう微笑みながら言ってきた美冴さんは…

 白いノースリーブのTシャツに、薄い黄色系の短いコットンの開衿型のシャツを羽織り、そしてやはり薄い黄色の膝丈のキュロットスカートを穿き、白い網目のミュールサンダルを履いていたのだ。

 その姿は正に真夏のリゾート地にぴったりなファッションであり、そう、その姿は…

 黄色い天使…

 いや、向日葵の天使の様であった…

 いや、わたしにはそう見えたのである。

 ドキドキドキドキ…

 昂ぶりが更に激しく高鳴ってくる。

 え、本当に美冴さんなの…
 美冴さんがあまりにも眩しくて、わたしには戸惑いの想いが湧いていた。

 そして目の前にいる美冴さんのその姿は、どことなくいつもあるあの憂いの翳の表情は全く見受けられず…
 いや、美冴さんなのではあるのだが、別人の美冴さんなのだ。

 もしかしたら…

 この黄色い、向日葵の天使のこの姿、佇まいが、本当の美冴さんの姿なのかもしれない…

「はぁぁ…」
 わたしはあまりの眩しさに吐息を漏らしてしまう。

 そして鼻孔いっぱいにあの甘いムスクの香りが拡がってくる…

「カニっ、お届けにまいりましたぁ」
 美冴さんは、そんなわたしの戸惑いの想いなどは全く感じておらず、満面に笑みを浮かべながらそう戯けて言ってきたのである。

 ドキドキドキドキ…

 それがまた、かわいいのだ…

 本当に天使の微笑みだわ…





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