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シャイニーストッキング
第14章 絡まるストッキング8        部長佐々木ゆかり
 264 初めての来宅

「カニっ、お届けにまいりましたぁ」
 そう戯けてくる美冴さんの脚元には、白い発泡スチロールの箱が二つ置いてあった。

「あ、ありがとう…」
 とりあえずそう呟く。

「こっちがカニで、こっちが海鮮系です…
 沢山買ってきてきちゃいましたぁ」
「うん、ありがとう…」
 わたしはそう返事をしながら周りを見渡していく。

 この発泡スチロールの箱は意外に大きいのだ…
 美冴さん一人では運べない。

 わたしは美冴さんと一緒にいた筈の存在が気になり、周りに視線を泳がせていく。

「あ、うん…
 実は、一昨夜に話した元カレと一緒でした…
 でも、もう帰しましたよ…」
 と、美冴さんはわたしの視線の意味を察知し、そう言ってきたのである。

「あら、そうなの、残念だわぁ」
 そう…
 その元カレを是非とも見たかったのだ。

 この美しい美冴さんの元カレは、一体どんな男なのだろうか?…
 わたしは興味津々であったのである。

「恥ずかしいから、ソッコー帰しましたよぉ」
 と、美冴さんは苦笑いしてくる。

「残念だわ…」
 わたしはそう返して、そして発泡スチロールの箱を一つ持ちながらエントランスのロックを解除し、エレベーターに案内する。

「どうぞ…」

「うわぁ、でも、すごいマンションですねぇ」
 すると美冴さんはもう一つの発泡スチロールの箱を持ちながら、エレベーターに乗り、そう言ってきたのだ。

「え、あ、うん…
 でも、離婚の慰謝料代わりに貰ったマンションだから…」

「はぁ、そうなんですかぁ…
 でも、それにしてもすごいマンションですよ…
 わたし、さっき、到着した時に思わず見上げちゃいましたもん…」

 チン…
 美冴さんがそう言ってる間にエレベーターは25階に到着する。

 2511号

「ここなの、どうぞ…」

 ついにわたしのウチに、家に、初めてお友達という存在が来宅するのだ…

 それも…

 愛しい存在といえる…

 いや、憧れの存在といえる…

 蒼井美冴さんが来宅したのだ…

 ドキドキ…

 高鳴りが止まらない…



 ワクワク…

 何かの…

 期待の昂ぶりが…

 心を秘かに震わせてきていた…



  第14章 絡まるストッキング8              
     部長佐々木ゆかり

        完





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