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シャイニーストッキング
第15章 絡まるストッキング9     美冴とゆかり
 25 美冴さんからの提案

「あ…、いや、わたし…
 殆どウチでは食べないし、料理もしないの…」

 わたしは慌てて、そしてやや狼狽えてしまい…
 料理が出来ないんじゃなくて、料理しないと、ついそう言ってしまった。


 すると一瞬だけ美冴さんに間が空いた感じがしたのだが…
「ねぇゆかりさん、買い物に行きませんか?」
 と、にこやかな笑顔を浮かべてそう言ってきたのである。


「えっ、買い物?」

 えっ、買い物って…

 あ、そうか、見事な位に冷蔵庫が空っぽだからか…

「あ、はい、近所にスーパー系はありますか?」 
 続けてそう訊いてきた。


 スーパーって…
 
 わたしは普段、全く食材等の買い物をしないし、たまに買う時は帰社時のタクシーの乗車前にデパート等で買うので、このマンションの近所では最近は、いや、ほぼ、全く買い物はしていなかったのだ。
 だから、一瞬、脳裏にこのウチの周りの地理を思い浮かべてしまった。


「あ、うん…あ、あるわ…」
「じゃあ、そこに買い物に行きましょうよ」
「え…」

「わたしが買ってきたシーフードで料理を作りますから…
 今夜はそれとカニを食べながら、飲みながら、ゆっくりと過ごしませんか?」
 なんと、美冴さんはそう言ってきたのである。

 えっ、お酒を飲みながら…

 料理を食べながら…

 ゆっくりとって…

 ゆっくり過ごすって…

 胸が、心が急にザワザワと騒めき始めてきて、そして…


「えっ、あっ、うん、はいっ」
 
 そして…

 その美冴さんの言葉に…

 心が震えてしまう…

 そして…

 嬉しくて胸が高鳴ってきた…

 それは、これって…

 あ、憧れの…

 家飲み女子トークではないか…

 美冴さんは…

 美冴さんは、そんな事を考えて、いや、思ってくれていたのか…

 あ…

 もしかしたらあの夜の…

 神宮外苑の銀杏並木通りでわたしが美冴さんに
『お友達になってほしいの』
 と、懇願した時に話した…

 女子トークをしたい…

 一緒に買い物や食事をしたい…

 映画や劇を観たい…

 遊園地等にも出掛けたい…

 旅行にも…

 等々、わたしが言ったのを覚えてくれていて…

 だから、まず今夜は…

 語り明かそう…
 と、思ってくれたのであろうか?





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