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シャイニーストッキング
第15章 絡まるストッキング9     美冴とゆかり
 28 シャワー…

「はい…カニはボイル済みのを買ってきましたし、中トロとイクラはそのまま食べられるし、後はシーフードパスタのソースを作るだけですから、ゆかりさんお先にシャワーどうぞです」
 美冴さんはそんなわたしの料理オンチなんて介さない風に、そう続けて言ってきた。

「え、でもそんなぁ…
 お客様である美冴さんより先になんてぇ…」

 そう、問題はソコなんだ…

「あ、お気になさらずに、お先にどうぞですよ…
 ゆかりさんが出てきた頃にはシーフードソースも出来ますから、そしたらば後はパスタを茹でて和えるだけですから…」
「え、そ、そうなの?…」
「はい、意外に簡単なんですよぉ…
 だからゆかりさんお先にシャワーどうぞ…」

「あ、うん、じゃあ、そうするね」
 わたしはそのパスタの手順の半分も理解出来なかったのだが、もう、美冴さんに従うしかない…
 と、想い、先にシャワーを浴びる事にしたのである。
 
 ヤバい…

 やっぱり美冴さんて素敵だわ…
 

「じゃあ、お言葉に甘えて先に入りますね…」
 そうわたしは断りを入れ、シャワールームに向かう。


「ふうぅ…」
 わたしはシャワールーム脇のドレッサーの鏡を見て、そう吐息を漏らす。

 あんな聡明な美人で…

 料理が出来て…

 ヤバい…

 美冴さんは素敵過ぎるわ…

 わたしは鏡に映っている自分自身の顔を見ながらそう思っていた。

 それにしても…

 あの夜にわたしが言った事を…

 覚えてくれていたんだわ…

 だから…

 今夜、気を遣ってくれて…

 心がときめき、昂ぶっていた。

 あんな素敵な美冴さんを…

 うーん、健太には勿体ないわ…

 そう、不意に、黒歴史の生き証人であり、直の後輩の武石健太の顔が浮かんできたのである…

 そして胸が、心が騒ついてきていた。

 あら、わたし…

 まさか、嫉妬してるの…

 そんな、まさか…

 だって…

 健太には未練は無いし、いや、そもそもが未練どころか、元カレでもないし…
 そう想いながら、鏡の自分の目を見つめていく。

 あっ…
 すると、急に、激しく胸が、心がザワザワと騒めきを感じてきたのである。

 あっ…

 まさか…

 うん、そう…

 わたしは…

 美冴さんを健太に取られてしまう…

 と、嫉妬しているのか…


 

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