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シャイニーストッキング
第4章 黒いストッキングの女3 ゆうじ
 34 二人の刻 ⑪

  マジ…なのか…

 「…そうなの………」

 「うん…」

 ゆうじが脚色したり嘘を語るはずがない。

 本当の話しなのだ
 これはまるで彼女の心の慟哭ではないか…

 ドラマなの…
 いや現実である。

 さすがにこの時ばかりは、この世界が私とゆうじ二人を中心に回っているのではないか、と錯覚をしそうになった。
 そしてこの話しを聞いた限りでは、彼女にとってのゆうじの存在は大きい、まるで心の拠り所、支えでないのか。

 こんなゆうじの存在を私が取ってもいいのだろうか…

 ショックであった、ショックが無いとは言切れなかった。
 そしてやっぱり聞かなければよかった、このまま訊きたいという思いをずっと心に秘めて、しまって鍵を掛けておけばよかったのだ。
 ゆうじだって本当はこの重大さをわかっているはずなのだ。

 そう逡巡していると、スッとゆうじが私の脚に触れてきた。

 「この脚の魅力に虜になっちゃったんだよ…」
 多分、私が余りにも暗く、深刻な顔をしていたのだろう、彼が咄嗟に機転を効かせてきたのだと思う。

 「このみっさの脚が堪んないんだよなぁ、そしてストッキング脚もさ…」
 碧い目をして微笑みながら言ってきた。

 「もう、ばか…」
 こんな優しい機転が嬉しかった、そうなのだ、ここでいつまでもぐずぐず、ウダウダしてても仕方がないのだ。

 私は今からMIKACOさんの分もゆうじを愛していかなくてはいけないのだ…

 いつの間にか時刻は朝5時を過ぎていた。

 「あっ、もうこんな時間だ」
 そう言っても彼はまだ私の脚を触っている。

 「みっささぁ、陸上部だったろ、それも中距離の…」
 私はドキッとした。

 「えっ、何で知ってるのっ」

 「違うよ、解るんだよ、触ればさ」

 すごい…

 「俺はチョー脚フェチなんだぜ、しかもフェチ歴は小学校時代からだからもう20年だよ…」
 その言葉に驚きながら、呆れ、そして納得してしまう。

 「でもさ…本当に脚の違いもあったんだよ」

 脚の違いとは…

 本当に脚の差でもあったのか、私はそれにも驚いてしまった。

 この私の脚がパリコレのモデルよりいいってことなの…

「ミッコの脚は美しく完璧だけど…」
 私の脚をゆっくりと愛でるように撫でながら

 「硬いんだ…」

 硬いって…





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