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シャイニーストッキング
第4章 黒いストッキングの女3 ゆうじ
 36 二人の刻 ⑬

 「何か作ろうか」

 「え、でも、冷蔵庫空っぽだよ」
 そうなのである、この部屋の冷蔵庫にはビールしか入っていないのだ。

 「じゃあ、みっさを食べようかなぁ」
 そう言いながら私に抱き付いてくる。

 「いや、ばか、こんな朝から…」

 悪い気はしなかった、いや、嬉しかったのだ。
 でも今はもうよい、満足だ。
 と、いうよりゆうじに抱かれると感じ過ぎてしまい、その後ぐったりと疲れてしまうのだ。
 それにこれから仕事がある、抱かれたい気持ちはあるが体力的に無理であった。 

 「無理、それにこれから仕事だし…」

 「そうだよなぁ」
 彼は笑っている、本当に本気だったのか、冗談だったのかわからない。

 「あ、そう、午後から撮影兼ねて宮城県に二泊三日で出掛けるんだっけ…」

 「え、そうなの…」

 「ごめん、色々バタバタしてたから言うの忘れてた」
 波の状態次第らしいのだが、最悪でも30日までには帰ってくるそうだ。

 「一緒に年越ししような」

 「うん…」
 嬉しい言葉であった、少し寂しいがこの一言で我慢ができる。

 「そうだ、俺の秘密知りたかったらノリに聞けばいいよ、アイツなんでもしゃべるからさ」

 「秘密…?」

 「あ、いや、秘密は冗談だよ…」
 彼はそう笑い、シャワールームへ向かった。

 秘密かぁ、でも聞きたいことたくさんあるんだよなぁ…

 そして私は仕事の準備をするために自宅マンションに帰宅をし、彼は二泊三日の撮影サーフトリップへと出掛けた。



 「えーっ、ゆうじさんの秘密っスかぁ」
 さっそく私はその夜、カフェバー『波動』のカウンターでノリくんに話しを訊こうと尋ねてみる。
 今夜からゆうじがいなく、少し寂しい気持ちもあったのだが、なにより何でもいいから彼のことを訊きたかったのだ。

 「女関係じゃなければしゃべっていいとは言われてるんスけど…」

 私は昔の彼のことが知りたい、と言った。

「昔っスかぁ、まあ、だいたいの生い立ちは聞いてるっスけど…」
 と、ノリくんは言いながら話し始めてきのだ。

 「出身は茨城県の……」

 茨城県北部の海沿いの街そのものが企業の市だそうだ…

 13歳の時に両親が交通事故で亡くなって独りになってしまったが、母方の祖母がわざわざ神戸から移住して20歳まで育ててくれた。



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