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シャイニーストッキング
第4章 黒いストッキングの女3 ゆうじ
 37 二人の刻 ⑭

 「ゆうじさんの出身は茨城県の北の……」

 生まれ育ちは茨城県の北部の海沿いの街そのものが企業の市だそうだ…

 13歳の時に両親が交通事故で亡くなって独りになってしまったのだが、母方の祖母がわざわざ神戸から移住してくれ20歳まで育ててくれた。
 父親方は経済的にもゆうじを引き取るのが難しいという事で母親の神戸の祖母が引き取ることとなったらしいが、彼がどうしても自宅を出たくないとゴネたら、なんと祖母が単身茨城県に移住してくれたのだ。
 神戸の母の実家は元々自営業をしており比較的に裕福であった、そしてその自営業は既に長男に譲ってあったので祖母は彼の為にと移住してくれたそうである。
 20歳まで祖母と暮らし、成人ということで祖母は再び神戸に戻った。
 そしてゆうじはその後茨城県の実家を整理して東京に上京したそうだ…

 「そ、そうなんだ…」 

 ご両親、兄弟はいないのか…

 「そうみたいっス」
 上京してからはサーフィン三昧の日々で、全日本も東京支部から出場していたそうである。

 「あ、あと…」
 なんとノリくんはゆうじに給料の類は一切払ってないそうなのだ、いくら言っても受け取らないそうである。
 で、色々話し合いの結果、住んでるマンションの家賃は無しにし、サーフショップの利益を折半ということで落ち着いたそうだ。

 「なんか、両親の交通事故の慰謝料をおばあちゃんが上手く運用して、かなりの金額残してくれたって言ってましたっス」
 バブル期にありがちな話しではあったが、なんかゆうじについての色々なことが物凄く現実離れしている様な気がした。

 「なんか、全部すごい…」
 「本当っスよねぇ…」
 「あのMIKACOさんのことだってさ…」
 「そうっスよねぇ、あれは…あっ…」
 「いいよ…」
 
 ノリくん曰く
 あのモデルのMIKACOさんをフルのはあり得ない…
  と、私にすまなそうに言ってきた。

 とにかく、彼の話しを訊けば聞くほど現実離れしていて驚くばかりであったのだ。

 本当にこれからゆうじと付き合っていくには相当腹をくくっていかねば…

 そう決意を固めるしかない
   と、心の底から思うのだった。

 そしてこの時から私達は楽しく、愛に包まれた幸せな刻を送っていくのだ。


 あの運命の時を迎えるまでは…





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