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シャイニーストッキング
第4章 黒いストッキングの女3 ゆうじ
 42 幸せな時間 ⑤

 私が主に連れていって貰えたのは、ほぼ日帰り可能な関東近辺の海であった。
 ゆうじの愛車は国産のよく職人さんが乗っているようなワンボックスカーで、後部の荷台にはいつもサーフボードが5~6枚乗っていた。
 そして私もこの車にすっかり慣れて、東京への帰途の運転を毎回するようになっていたのだ。

 「みっさ運転上手だから助かるわぁ…」
 彼は助手席でよくそう言っていた。
 結婚して旦那の転勤により北関東に引っ越してからはクルマなしでは生活できなかったから、必然的に運転は上達したのだ。
 そしてこの頃には私もすっかり日焼けしてしまっていた、どんなに日焼け止めを塗っても、日傘をさしても、日陰やクルマの中に隠れていても、やはり海の紫外線の照り返しは強力であったのだ。
 見た目だけはすっかりとサーファーおばさんになってきていた。

 「なんかさぁ、海の潮水の影響なのか、波乗り終えるとやりたくなるんだよなぁ」
 「ええ、そうなの…」
 彼は突然、帰途の首都高に乗った頃にそう話してきた。

 「そうなんだよ、ほら、人間の体内は点滴とかによく生理食塩水てあるじゃん、それを打つくらいだから基本塩水でできてんだと思う訳よ…」
 「確かに…」
 「だからきっと子宮の中の羊水に還るっていう本能なのかも…」
 「はい、はい、違うでしょ、最近してないからただヤリたいだけなんでしょっ」
 危なかった、すっかり信じてしまうところであった。

 「はは、バレたか」
 「ゆうじの考えはお見通しです…」
 この頃はすっかりさん付けは消えて、ゆうじと呼べるようになっていたのだ。

 「じゃあ帰ったらしよ…」
 この年の秋は台風ラッシュで、サーフトリップ三昧となり、確かに最近はご無沙汰になっていた。

 「うん……いいよ、でも軽くね、明日仕事なんだから」
 「やったぁ、みっさ大好きっ」
 本当に調子の良い奴である。
 でもそうなのだ、軽くじゃないと本当に次の日の仕事に影響するくらいにこの頃の私は感度が増しているという幸せな悩みを持っていたのだ。


 「あん、もう、シャワーしてからにしようよ…」 
 帰宅するなり彼は抱きついてくる。
 
 間もなく付き合い初めて1年を迎える。
 彼が遠征しなければほぼ毎日のように顔を合わせているのだが、まだ一緒に住んではいなかったのだ…
 



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