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シャイニーストッキング
第4章 黒いストッキングの女3 ゆうじ
 51 幸せな時間 ⑭

 このゆうじ絡みのアメリカブランドの大手スポーツ店出品という出来事は、これまでのどちらかというとやや封鎖的であった日本サーフィン界に風穴を開けることになった。
 そして彼はこのスポーツ店出品を足掛かりにしてこのブランドの正規代理人のオブザーバーとして各バイヤー達と折衝をし、なんと今度は大手百貨店のアドバイザーとして器用に振る舞い、次々と出品も決めてしまったのである。 
 すると今まではサーフショップでしか買えなかったこのブランドの商品を、この事で気軽にこれらのスポーツ店や百貨店でしかも比較的安く買えるようになった。
 そしてこの事がきっかけとなり、他のサーフファッションブランドもこの動きに追随し、この初夏から秋へのサーフファッション大ブームの火付け役となったのである。

 この世の中の大ブームの流れは、ひとえにゆうじのオブザーバーとアドバイザーという二刀流を器用にこなした結果に違いなく、陰で色々と協力していた私もこの彼の器用さに驚いてしまっていたのだ。

 ゆうじにこんな商才と先見があったなんて…

 そして彼の人脈と、人望に尽きるとも言えたのである。

 ゆうじ自身はイメージモデルを断り、代理に推薦したプロサーファーは瞬く間にスターダムへと昇り始めていた。
 そしてなによりこのブランドの大躍進の決定的な要因は、レディースブランドのイメージモデルに今やあのパリコレモデルとして不動の地位を築き上げたMIKACOが引き受けてくれたことであったのだ。
 この事には業界が、いや、世間が仰天し、驚き、注目したのである。
 この事実により、このブランドはアッという間に日本中に定着したのであった。

 このMIKACOに関してはやはりゆうじの交渉の結果なのだが、なぜ彼女が二つ返事でしかも低ギャラで引き受けたのかは業界の七不思議の伝説となったそうである。
 このことは私を含む3人にしか分からない秘密なのだ。

 こうして突然降って湧いたようなビジネスパートナー話しからスタートしたこのブランドの日本進出は、ゆうじによって大成功を収めて順調に軌道に乗り、私達がひと息付けたのは既に秋が過ぎ、冬の季節を迎える頃であった。

 「パーティーがあるから一緒に行こうよ」
 そう誘ってきたのだ。。

 このブランドの日本進出大成功記念パーティーだそうである…

 

 
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