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シャイニーストッキング
第4章 黒いストッキングの女3 ゆうじ
 62 最後の時間 ⑨

 その記念のキスは涙で海の味がした。

 「俺さぁ、考えたんだけど」
 「なぁに…」
 「みっさの誕生日って確か2月12日だよね」
 「うん、そうだけど」
 「その日に入籍しようよ」
 「えっ……」

 そんなことまで考えてくれていたのか…

 私はそんなゆうじの想いに更に嬉しさがこみ上げてしまい涙が止まらなくなってしまっていた。

 「おいおい、そんな泣くなよ」
 「だって…だってぇぇ…」
 私は幸せ過ぎて涙が止められなかったのだ。
 離婚して傷心が癒えないままに偶然この街に来て、本当に偶然にゆうじと出会った。
 そしてあっという間にこのゆうじという男に魅了され、愛してしまったのだ。
 それからの約2年間は正に晴天の霹靂といえるような現実とは思えない出来事や経験を、次から次へと想ったり体験する毎日を送ってきたといえる。
 それは全てがこのゆうじという男によって導かれたようなものであった。
 しかしそれは楽しかったし、幸せな時間といえたのだ、そしてこれからも、この先も、この結婚により続くのだと思うと最高の幸せを実感じていたのだ。

 そんな幸せな想いに包まれながら私はゆうじの腕に抱かれ、涙を溢れさせていた。

 「もう泣くなよ」
 「うん…ごめん…」
 「あと一つ大事な話しがあるんだ」
 「………え、大事な…」
 「うん、実は………」

 ジム社長のブランドのサーフィンのプロモーションビデオ撮影を12月15日から来年の1月10日前後までする事になり、ジムのブランドのスポンサー契約を受けているプロサーファー達と共にゆうじもインビテーションされたのだ。
 ゆうじの場合はブランド側と、サーファーとしての両方の招待らしく断る訳にはいかないそうだ。
 そしてジム社長がハワイに所有しているコンドミニアムで約1ヶ月過ごす予定になっているとのこと。

 「ええっ、15日ってあと3日後じゃんっ」
 「そうなんだよ、今日の昼頃連絡きたんだ、ま、ジムはいつも急だから…」
 「それってすごいことなんだよね」
 「うん、まあ、ハワイで世界中のプロサーファー達と一緒だからな、すごいよ」
 「でも1ヶ月かぁ、急だし、ちょっと寂しいかも」
 「ジムはみっさも連れてこいって…」
 「無理よ、仕事があるし…」
 「辞めちゃえば」
 「ええ、それは……」









 
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