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シャイニーストッキング
第4章 黒いストッキングの女3 ゆうじ
 74 そして…現在

 万が一、時間の経過と共にこの封印が解けられる時がきたならば、その時は

 この思い出の最終点であるこの『波動』を訪れ、まずノリくんに謝ろう、これまでの感謝を込めて謝ろう
 そして彼にもう一度やり直すきっかけを貰おう…
 
 その時の私の最後の理性がそう決めたのだった。

 
 そして今日…
 様々な出来事が重なって何の前触れもなく突然、心の奥深くに閉じ込めていた私自身の想いの封印が解けたのだ。
 当時、無理矢理に抑制していた希望や欲求が再び顔を出してきた。
 
 まだ心がザワザワと騒めき続けている。
 
 そして現在…
 私はここに戻ってきた、いや、戻れたのだ。


 現在 1997年7月31日木曜日
    カフェバー『波動』

 「ちょうど明日っスよ」
 「……はっ」
 私はノリくんのその声掛けでゆうじとの過去からの想いから我に返った。

 「美冴さん、大丈夫っスか」
 「う、うん、ごめん…」
 まだ心がザワザワしている。

 「それよりノリくん、本当にごめんなさい」
 私は心から謝罪をした。

 「え…あ…」
 「今まで本当にごめんなさい、本来なら私がしなくちゃ…」
 涙がこみ上げてしまい言葉に詰まってしまう。

 「ほ、本来なら…私が…うぅぅ…」
 「い、いや、大丈夫っスから、こうして来てくれただけで十分っスから」
 「でも、でも…」
 「いや、俺は当たり前のことしただけっスから…」
 当たり前ではない、どれ程の苦労と労力、そしてお金を使ったのだろうか。

 「あ、当たり前…じゃないよ…」
 「いや、何言ってんスか、俺の方がゆうじさんとの付き合い長いんスからね」
 ノリくんは笑いながらそう言ってきた。

 「俺だって、どんだけゆうじさんに色々与えてもらったか…」
 そう言って遠い目をする。

 「でも…本当にごめんなさい…」
 「いや、それよりも…」
 ノリくんは店の奥の角を指差した。

 「ゆうじさん追悼コーナーっス」
 店の奥の角の隅にテーブルが置いてあり、その上に色々あるようだ。

 「………」
 私はそこに歩み寄り、そしてそれを見て号泣してしまう。 
 そこにはゆうじの残した遺産と、ゆうじの思い出があった。
 そして笑っているゆうじと私の写真がそこにあったのである。

 「あ、あぁ……うぅぅ……」

 ゆうじ、ゆうじ…


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