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シャイニーストッキング
第4章 黒いストッキングの女3 ゆうじ
 75 そして…明日へ

 そこにはゆうじと私がいた…

 「あ、この写真は…」
 そう、初めてゆうじに連れて行ってもらった御前崎でのスナップである。
 
 確か木本さんに撮ってもらった…

 「ゆうじさんのサーフボード、追悼特集の雑誌、追悼サーフィン大会のDVD、あと様々なロケーションのアルバム、最後のハワイサーフセッションのDVD…」
 そしてゆうじオリジナルのサーフファッションブランド
  Ga’s y.m.s ガーズワイエムエス
 のサーフウェアが数点置いてあった。

 ゆうじの遺産…

 私は号泣してしまう。
 「うえっ、うっ、うぅぅ……」
 脳裏にゆうじのあの目尻に皺が寄った笑顔が、あの紺碧の海のような碧い目が浮かんできていた。

 「ひっ、ひん、う、うぅ…」
 約5分は暫く泣いただろうか、ようやく落ち着いてきたところに
 「まだ、正規輸入代理店の会社と、オリジナルブランドはあるんスよ」
 そう言ってきた。

 「うぅ、ふぅ、ごめんね…」
 そして私は泣き腫らした目でノリくんに、まだあるの、と伝える。

 「勿論っスよ、Gaブランド売れ行き好調ですっごい儲かってんス」
 「そうなんだ…」
 ようやく嗚咽が落ち着いてきた。

 「会社はほとんどスタッフに任せてんスよ」
 「えっ、じゃあ…」
 「この店は辞めないっス、それに店やってるとモテるんで…」
 そう笑顔で言ってきた。

 相変わらずだ、ノリくんは変わらない…

 その変わらないことが今の私の心の救いになっていた。

 「美冴さん用のアルバム別にしまってありますよ」
 「まだいい、まだ見れないと思うから…」
 そう、これからの心のリハビリの時間はたっぷりとあるのだ。
 いきなり急に詰め込んでしまったら、また、頭がパンクしてしまうかもしれなかった。

 「明日、ちょうど葬儀満2年目っス、墓参り行きますか」
 「連れて行ってくれるの」
 「もちろんっスよ」
 私は頷いた。
 
 そうなのだ、墓参りして、ちゃんとゆうじと話しをしよう、そして今までの私と決別して新たに一歩ずつ歩き始めるのだ…

 いつの間にか胸のザワザワは消えていた。
 そしてゆうじオリジナルブランドというワードになぜか心が躍るような感じがしていたのだ。
 
 希望の道標が見えたのかもしれない
 明日からの私の為にも…


 

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