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シャイニーストッキング
第5章 黒いストッキングの女4     部長大原浩一
 15 律子 ②

 ゴルフの疲れとこの甘いブランデーの酔いのせいなのかもしれなかった。

 「…………」
 どうやら私は、飲みながら寝落ちしてしまったようなのだ。




 「……っはっ」
 私はもがくような息苦しさを感じ目を覚ます、だがまだ覚醒はしていない。

 ここはどこだ…
 目を開き、周りを見渡す。
 見慣れない風景である。

 ん…部屋なのか?…
 鼻に甘い香りが漂ってくる。

 「あっ…」
 少しずつ意識が醒めてくる、と、私はベッドに横になっていた。

 ベッド?…

 「あ、起きたんですか……」
 「えっ……」

 聞いた声だ…

 「あ、えっ…」
 あのクラブの律子が水を手にして声を掛けてきたのだ。

 な、なんだ…
 枕元にあった時計が偶然目に入る。
 午前4時を指していた。

 ザワザワと胸が高鳴ってくる。

 え、一体、これは、どういうことだ…

 私は徐々に醒めつつある思考を必死に辿っていく。

 確か…へーラーで飲んでいて…

 男に抱き抱えられ、タクシーに載せられた映像が脳裏に蘇る。
 
 まさか、ここは…

「私の部屋です…」
 クラブで飲んでいて酩酊し、バーテンの男性に抱き抱えられタクシーで何とかこの部屋に連れて来たのだ…
 と、律子が言ったのだ。

「えっ、そうなのか…」
 今だにハッキリと記憶が戻らない、そして頭の奥が少しズキズキと疼いていた。

 「はい、お水と頭痛薬」
 「あ、すまない…」
 頭がズキズキし、胸がザワザワしてしまう。

 今まででの人生で飲んで意識が無くなったのは2回目であった、1度目は大学生時代のコンパでのイッキ飲みによる自爆的な酩酊で、歌舞伎町の居酒屋の店の前で倒れていたこと。
 それ以来の酩酊ではあるが、それ程飲んだ記憶はない。

 「大分お疲れのようでしたから」
 3杯目を飲んだ辺りで突然にスッと寝落ちしたというのだ。

 「たった3杯で…」
 「はい…」
 で、山崎専務がバーテンにお小遣いを渡し、ぜひ、私の部屋へと運ぶようにと…
 そう律子は言ったのだ。

 「山崎専務が…」
 律子は私を見つめて頷いた。

 もしかして…

 「でも、嬉しい」
 その時、律子はそう言って私に抱き付いてきたのだ。

 「お、おい…」

 もしかして、専務に図られたか…

 更に胸のザワザワが激しくなってきた。



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