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シャイニーストッキング
第19章 もつれるストッキング3          常務取締役大原浩一
 95 永岡支社長の存在価値

「じゃあ大原常務、こちらへ…」

 わたしは午後5時過ぎに、永岡新潟支社長に連れられてハイヤーに乗り…

「さぁ、どうぞ…
 一応、新潟市内では一流と呼ばれております」
 と、豪華な門構えの料亭に案内された。

「いらっしゃいませぇ」
 恐らくは女主人であろう和服姿の40代であろう、美しい女将が深々と頭を下げて出迎えてくれる。

「永岡様、いつもありがとうございます」

「あ、うん、女将、こちらは今度本社で新常務に就任された大原常務さんだ」
 永岡支社長が女将に紹介してきた。

「初めまして、これからもぜひ御贔屓にお願いします」
 女将はそう挨拶をしながら部屋へと案内してくれる。

「あ、それで女将、いつものな…」

「はい、かしこまりました」

 私は案内されながら、永岡支社長と女将のそんな会話を黙って聞いていた…
 そしてどうやら永岡支社長は、よくこの高級料亭を利用している様であるし、恐らくこの女将は前常務の事も、いや、今回のこの保険会社の吸収合併のカラクリ等もある程度はわかっているようである。

「よくここはご利用されているみたいですね」
 私は席に座るなり、永岡支社長にそう問うた。

「え、あ、いや、前常務がここを大変気に入ってらっしゃって…」
 と、永岡支社長は私の雰囲気を察したかの様な、こんな返しをしてくる。

 さすがに永岡支社長はサッと空気を読み、泳ぐのは上手らしい…
 そして自分に都合の悪い事は全部、前常務のせいにしてしまえば良いとも思っているようなのであった。

 確かに、本社の山崎専務とこの保険会社の林社長の情報によれば、この新潟支社長の永岡という存在はただの前常務の腰巾着程度の、そして前常務の私腹を肥やす為の道具的と…
 あとはアンチ常務派の監視役としての価値しか無かったみたいではある。

 だからこそ、それ故に上手く空気を読み、賢くその隙間を泳ぐ事には長けているのかもしれない…

「さあ、大原常務、ここの日本海直送の魚は美味いですから」
 一見にして豪華な料理が運ばれてくる。

 そしてなぜか、永岡支社長の秘書も同席していた…

 


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