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シャイニーストッキング
第5章 黒いストッキングの女4 部長大原浩一
26 越前屋朋美 ②
「なんでも話していいんですか」
私は頷く。
「じゃあ…本音は…よかったと思います」
「えっ」
予想外の応えであった。
「あ、よかったには二つの意味があります…」
一つ目のよかったは、破綻により保険契約者の年金系の積み立て金等が無くならなくてよかったこと。
そして二つ目のよかったは、この旧態依然とした会社の中身が変わるのだろう、ということであると彼女は言ったのだ。
「旧態依然…」
「はい…」
そもそもがこの会社全体がまるで男中心主義の旧態依然とした完全縦社会の形態なのだという。
「私の総合職採用も本当に形式だけで…」
何度も色々な改革案や保険商品プラン等のプレゼンしようにも、まず企画会議の段階で却下されてしまうのだ…
と、彼女はそう激白してきたのだ。
「挙げ句の果てには、その私のプランが違う営業社員の企画として通った事もあったんです」
「それは非道いな」
今だにそんな事があるのか、いや、まかり通っているのだろうか…
そんな私の想いを読んだのか彼女は続けてくる。
「私はこれでも…」
彼女の経歴はもの凄い。
東京大学経済学部を卒業し、最難関である国家公務員上級Ι種試験に合格したがキャリアの道を蹴ってまでこの保険会社に就職した変わり種なのである、そして彼女は将来の幹部候補として価値のある存在のはずなのだ。
「私は個人的に保険業務に、ある思い入れがあって他の道を絶ってまで就職したんです…」
だが彼女は、女という事だけでこうまで粗末に扱われているのには納得できていないのだ…と、私に激白してきたのだった。
「だからこの吸収合併を機に変わればいいな…と思いました」
「うむ、わかった」
そして私は彼女にこう伝えたのだ。
今回の吸収合併による新規事業計画にキミが人事異動の推薦をされていること、私がこの最高責任者になる予定のこと、そして部長代理待遇の総合職管理課長である女性管理職の下で保険総合職として働いてもらう予定である…と。
私は彼女の目を見て、そしてこの意見を直で聞いて、この検討事項を独断で決定したのだ。
このくらいの気概溢れる思いを持つ人材が欲しかったのである。
「とりあえず今日の会議では秘書役をしてもらうから…」
「は、はいっ、よろしくお願いします」
「なんでも話していいんですか」
私は頷く。
「じゃあ…本音は…よかったと思います」
「えっ」
予想外の応えであった。
「あ、よかったには二つの意味があります…」
一つ目のよかったは、破綻により保険契約者の年金系の積み立て金等が無くならなくてよかったこと。
そして二つ目のよかったは、この旧態依然とした会社の中身が変わるのだろう、ということであると彼女は言ったのだ。
「旧態依然…」
「はい…」
そもそもがこの会社全体がまるで男中心主義の旧態依然とした完全縦社会の形態なのだという。
「私の総合職採用も本当に形式だけで…」
何度も色々な改革案や保険商品プラン等のプレゼンしようにも、まず企画会議の段階で却下されてしまうのだ…
と、彼女はそう激白してきたのだ。
「挙げ句の果てには、その私のプランが違う営業社員の企画として通った事もあったんです」
「それは非道いな」
今だにそんな事があるのか、いや、まかり通っているのだろうか…
そんな私の想いを読んだのか彼女は続けてくる。
「私はこれでも…」
彼女の経歴はもの凄い。
東京大学経済学部を卒業し、最難関である国家公務員上級Ι種試験に合格したがキャリアの道を蹴ってまでこの保険会社に就職した変わり種なのである、そして彼女は将来の幹部候補として価値のある存在のはずなのだ。
「私は個人的に保険業務に、ある思い入れがあって他の道を絶ってまで就職したんです…」
だが彼女は、女という事だけでこうまで粗末に扱われているのには納得できていないのだ…と、私に激白してきたのだった。
「だからこの吸収合併を機に変わればいいな…と思いました」
「うむ、わかった」
そして私は彼女にこう伝えたのだ。
今回の吸収合併による新規事業計画にキミが人事異動の推薦をされていること、私がこの最高責任者になる予定のこと、そして部長代理待遇の総合職管理課長である女性管理職の下で保険総合職として働いてもらう予定である…と。
私は彼女の目を見て、そしてこの意見を直で聞いて、この検討事項を独断で決定したのだ。
このくらいの気概溢れる思いを持つ人材が欲しかったのである。
「とりあえず今日の会議では秘書役をしてもらうから…」
「は、はいっ、よろしくお願いします」