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シャイニーストッキング
第5章 黒いストッキングの女4 部長大原浩一
27 ネクタイ
「とりあえず秘書役をしてもらうから…」
「はいっ、よろしくお願いします」
越前屋朋美は大きな目を更に大きく輝やかし、明るく返事をしてきた。
私は他の社員達にもこの吸収合併を彼女のように理解しチャンスと思って気概を見せて欲しいな、と思って会議を眺めていたのだ。
この先この越前屋朋美は面白い存在になるだろう…
そして私は隣でこの会議のアシストを頼んだ彼女を見ながらそう思っていた。
「ええっ、国家公務員上級試験を合格してるのっ」
ランチを共にしているゆかりがその越前屋朋美の話しを聞いて驚いていたのだ。
午後からは今度は人事部との会議があるので、この保険会社のある汐留の最近できた商業ビルの中の日本料理店でランチを食べていた。
久しぶりの和食は美味しい。
「それって霞ヶ関の官僚、つまり超エリートじゃないですかっ、それを蹴って…」
日本のエリートコースを無下にして、保険会社とはあり得ない…と、彼女は言う。
「そうなんだよ」
「でも、本当にその扱いは非道いですね」
吸収合併したらその根本から変えなくてはならないと私は話す。
「でもその越前屋さん、名前も珍しいけど、面白そう、早く会ってみたいです」
「ああ、まあ、ゆかりの下に置くし、どっちみち慌てなくても来週以降には会えるからさ」
そうなのだ、いよいよ来週半ばに吸収合併の発表会見があるのだ。
「ところで…」
彼女はそう言ってジィッと私を見てきた。
「なんか…趣味変えたんですか…」
「えっ、なにが」
急にドキドキしてくる。
「そのネクタイ…」
そう言って私のネクタイを手に持つ。
「えっ」
「いつからこんな趣味を…」
顔は笑っているが、目はなんとなく笑ってはいない。
「あっ…」
そのネクタイの表面の柄が、某夢の国の有名なアヒルのキャラクターの顔なのだ、そのキャラの小さな顔が沢山笑っているのである。
「こ、これは、今朝、慌ててクローゼットの奥のやつを…」
私はすっかり動揺してしまう。
その時、今朝の律子が私の胸元にネクタイを合わせて
『あら素敵…』
と言った様子が頭に浮かんできた。
やられた…
「て、てっきり紺地に小さな水玉模様かなと…」
「ふうぅん、まだ老眼には早い気がしますけどねぇ…」
「とりあえず秘書役をしてもらうから…」
「はいっ、よろしくお願いします」
越前屋朋美は大きな目を更に大きく輝やかし、明るく返事をしてきた。
私は他の社員達にもこの吸収合併を彼女のように理解しチャンスと思って気概を見せて欲しいな、と思って会議を眺めていたのだ。
この先この越前屋朋美は面白い存在になるだろう…
そして私は隣でこの会議のアシストを頼んだ彼女を見ながらそう思っていた。
「ええっ、国家公務員上級試験を合格してるのっ」
ランチを共にしているゆかりがその越前屋朋美の話しを聞いて驚いていたのだ。
午後からは今度は人事部との会議があるので、この保険会社のある汐留の最近できた商業ビルの中の日本料理店でランチを食べていた。
久しぶりの和食は美味しい。
「それって霞ヶ関の官僚、つまり超エリートじゃないですかっ、それを蹴って…」
日本のエリートコースを無下にして、保険会社とはあり得ない…と、彼女は言う。
「そうなんだよ」
「でも、本当にその扱いは非道いですね」
吸収合併したらその根本から変えなくてはならないと私は話す。
「でもその越前屋さん、名前も珍しいけど、面白そう、早く会ってみたいです」
「ああ、まあ、ゆかりの下に置くし、どっちみち慌てなくても来週以降には会えるからさ」
そうなのだ、いよいよ来週半ばに吸収合併の発表会見があるのだ。
「ところで…」
彼女はそう言ってジィッと私を見てきた。
「なんか…趣味変えたんですか…」
「えっ、なにが」
急にドキドキしてくる。
「そのネクタイ…」
そう言って私のネクタイを手に持つ。
「えっ」
「いつからこんな趣味を…」
顔は笑っているが、目はなんとなく笑ってはいない。
「あっ…」
そのネクタイの表面の柄が、某夢の国の有名なアヒルのキャラクターの顔なのだ、そのキャラの小さな顔が沢山笑っているのである。
「こ、これは、今朝、慌ててクローゼットの奥のやつを…」
私はすっかり動揺してしまう。
その時、今朝の律子が私の胸元にネクタイを合わせて
『あら素敵…』
と言った様子が頭に浮かんできた。
やられた…
「て、てっきり紺地に小さな水玉模様かなと…」
「ふうぅん、まだ老眼には早い気がしますけどねぇ…」