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シャイニーストッキング
第20章 もつれるストッキング4     律子とゆかり
 113 視線(5)

 佐々木室長を始めとする三人は、驚きと呆れと、佐々木室長に至っては怒りの色も浮かべながら絶句していた…

「それに新潟支社に関しては、新潟県内の各官公庁や、県内を代表する様な大手企業等々からの保険契約数が各地方支社の中でも群を抜いてのトップクラスなんですが…」

「…………」

「どうやらその実績は主に彼女達、新潟支社の秘書課の接待業務に於ける業績がかなり大きいのだと…」

「…………」

「そしてそんな秘書の接待業務は前任の真中常務による指示なのだと…
 その元常務の子飼い中の子飼いである新潟支社長が、その元真中常務の失脚等々を忘れたかの様に、大原常務に得意気に語ってきたのだそうなのです」
 わたしがそこまで語ると、彼は大きく頷いた。

 そして…
「はい、どうやらそんな流れが、真中前常務の子飼い連中が赴任した各地方支社の秘書さん達の在り方が常態化しているみたいでぇ…」
 と、越前屋さんらしからぬ低いトーンの声音で、そう呟くように言ってきたのだ。

 さすが、この生保会社のジャンヌ・ダルク的の存在の越前屋さんである…

「このウチの旧態依然である男尊女卑の最悪で酷い流れが、その真中前常務によって子飼い連中のいる各支社では当たり前の様に蔓延し、常態化していてぇ…」

「…………」
 そんな彼女の言葉に、佐々木室長と蒼井美冴は呆れ果てたのだろう、完全に言葉を逸していた。

「そんな事実を知り、大原常務はその竹下秘書をとりあえず帰し、そして次の朝に青山さんと彼女が一緒に伴って…
 わたし達の泊まっているホテルに来て、この異動を陳情してきたんです」
 と、わたしは…
 敢えて『わたし達の泊まっているホテル』と佐々木室長に再び視線を向けて、そう言ったのである。

 そう…
『わたし達の泊まっているホテル』と。

 そしてどうやらその意味を彼女がどう捉えたのかは分かり兼ねるのだが…
 明らかに動揺の揺らぎの目をしたのだ。

 わたし達の泊まっているホテル、というその言葉に…



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