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シャイニーストッキング
第20章 もつれるストッキング4     律子とゆかり
 163 羞恥心…
 
 どうやら電話の相手は人事部長の入江くんからの様である…
 と、私はさっきまでの淫れ、乱れていた律子がこの電話のベルにより一瞬にしてまるで別人、別人格に切り替わった、いや、変身し、冷静でクールないつもの凛として電話の受け答えをしている後ろ姿を驚きながら見て思っていた。

 そして思わず…
「そうか、入江くんからか?」
 と、今日の彼との約束を思い出し呟く。

 すると律子はスッと振り返り…
「…………」
 下を向き黙って頷いた。

 そう下を向きながら…
 いや、それは醒めて冷静になったからこその心の中に一瞬にして芽生えた、さっきまでの狂った痴態への羞恥心という感情からの下を向き、無言の頷きなのだろうと察知をしたのだ。

 それはそうだろう、なぜならば、今のこの律子の姿、様子を見れば一目瞭然であるから。

 さっきまで淫らに乱れ、私に後ろから犯されるかの様に激しく抱かれていたせいでブラウスは捲れたまま…
 そして私が普段から執着的でフェチ的に愛し、なにより律子自身が自分の象徴とまで想い、思い入れてくれている魅惑のストッキングがボロボロに破れているのであるから。

 つまりそのボロボロのストッキングは、今の律子自身の想い、思い、淫れ、乱れを現しているという事、そしてその姿を見られるという事が律子の羞恥心を生む事だと思われるから。

 その証拠に律子は一切、顔を上げずに下を向いたままでいる…
 それに何より私自身も中途半端にズボンを腰に引っ掛けたままの姿であるのだから。

 とりあえずはお互いに身支度を整えたいという思いに違いないはずなのだ、だからこそ私は…
「うむ…そうだな…」
 と、そう頷き、呟き、立ち上がり、ズボンをとりあえず履き、そして…
「トイレに行ってくる」
 そう律子に告げ、常務室を出てトイレに向かったのだ。

 そしてそれはなによりも律子にとっての気の利いた、望ましい行動であると私の今までの女性経験が心に囁いてきていたからである…

 おそらく、私が身支度を整え、トイレから戻ったならば…
 すっかりと心の切り替えのできた、いつもの常務秘書然とした松下律子という、凛としてクールなオンナに戻っている筈であろう。

 そしてもちろん…
 ストッキングも穿き換えし、完璧で、魅惑的な美しいストッキング脚に戻ってもいる筈である。



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