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シャイニーストッキング
第20章 もつれるストッキング4     律子とゆかり
 164 妖艶な姿

 ガチャ…

「あ……」
 私はトイレに行き用を済ませ、サッと身支度を整え、ネクタイをギュっと締め直し、そして心の昂ぶりをリセットして常務室のドアを開ける、と、そこにはやはり…

「おかえりなさい」

 やはり…
 すっかりと身支度を整えた、あ、いや、着替えたのであろう、すっかりと身も心もリセットされた、スッキリとした佇まいの、いや、いつものクールで凛とした美しい昼間の顔…
 つまり、常務秘書然としたいつもの松下律子というオンナが立って私を迎えてきたのである。

 今日は白いブラウスとチャコールグレイ系のスーツ姿であったはずであるのだが、今、この目の前に凛とした微笑を浮かべている律子はさっきまでとは別人の如くの、細いピンストライプの柄のブラウスに黒いタイトスカート、そして、なによりも私の目に入ってきたのは、いや、一瞬にして私を魅惑し、心をグイッと掴み魅了してくる…
 魅惑の光沢を放ち、輝かせている限りなく透明な黒いストッキング脚であった。

 その魅惑の光沢の限りなく透明な黒いストッキング…
 それはストッキングフェチな私の心を魅惑し、魅了してきて視線が外せなくなってしまう程に凝視をしてしまっていた。

 そして、不謹慎ではあるのだが、その黒い魅惑のストッキング脚を見て、一瞬にして…
 蒼井美冴、つまり『黒い女』と云われていた彼女の存在感を脳裏に思い浮かべるてしまったのである。

 それは、さっきゆかりと共に来訪していたせいであるとは思われるのであるのだが、この目の前に凛とした美しい姿で鎮座している律子の姿を見て…
 あの昔の、今とは違った妖艶さを漂わせていた『黒い女』こと美冴を思い浮かべてしまっていた。

 そしてまた、この律子のこの姿、いや、黒いストッキング脚の魅惑で美しい姿は…
 あの頃の『黒い女』であった蒼井美冴に勝るとも劣らない、いや、それ以上の魅惑さと妖艶さを漂わせてもいる。

 まさに…

 律子の変身といえた。


 すると、そんな浮ついた想いで律子を凝視していると、こんな私の想いなど見透かしたかの様な笑みを浮かべ…
「では、入江部長を呼びますね」
 そう言って、電話を掛ける。

 もう、この目の前にいる律子は、さっきまでの淫らで淫靡に乱れていたオンナではなく、凛とした美しい常務秘書としての松下律子という女に戻っていた…


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