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シャイニーストッキング
第20章 もつれるストッキング4 律子とゆかり

166 入江部長という存在
「…ま、異動の経緯はこんな感じなんだよ」
午後四時半過ぎに常務室に呼んだ入江人事部長に今回の新潟支社からの急遽的な二人の異動の経緯をあらまし簡単に説明をした。
もちろん新潟支社の秘書である竹下くんに関しての経緯は少しぼかし、今回の佐々木ゆかり主導の「新プロジェクト」に於いての必要不可欠な資格保持者であるから欲しいという半分本当で半分こじ付けな理由に誤魔化し、そして、逆に資産運用に関しての青山くんの存在価値と存在意義の重要性を重点的に語り、説いていったのだ…
「なるほど、理解しました」
すると入江部長がそう応えてきた。
「うん、理解とは?」
私はその彼の返しに問い返す。
「あ、いや、つまりはその青山くんはこれからの大原常務の片腕になり得る存在なんだなぁって」
と、にこやかに返してくる。
「あ、片腕?、あ、いや、まあ、そ、そうかもなぁ」
何気ない彼のその返しの言葉の裏の鋭さを密かに私は内心、やや動揺してしまう…
そして思わず傍らで秘書然として黙って彼、入江部長の人となりを観察しているであろう律子の目をチラと確認してしまう。
その瞬間私は、この律子の目がチラと、この彼の鋭さに僅かに目を光らせた様に見えた…
さすが山崎専務の推す人材である。
「あ、そ、そんな片腕なんて…
いや、青山くんの以前のこの資産運用の伝説的な話しを聞いていたから…」
と、思わず言い訳じみた言葉を返してしまう。
ヘタな言葉は、まだ今の私の立場では命取りの危険性さえあるから…
この心の奥深くに芽生えた小さな野心の燻りさえも表には決して出せない。
ましてや、この入江くんという山崎専務からの推しの人物なら尚更でもあるのだ…
「いやぁ、僕は大原常務のこの傾き掛けている生保会社の再建計画に賛同しているんですょぉ…
で、その為にはまずは、何よりも資金、つまりは資産運用の建て直しじゃないですかぁ」
と、彼は予想外の意見を語ってくる。
「……あ、うん…」
そして律子も更に、彼を観察しているようであった。
「そしてあともう一つ、この生保会社の起爆剤的な画期的な『新プロジェクト』計画…
僕は、山崎専務からその話しを訊いた時に思わず大原常務に賛同したんですよぉ」
「…………」
私は彼のその言葉に、応えを返しあぐねてしまう…
「…ま、異動の経緯はこんな感じなんだよ」
午後四時半過ぎに常務室に呼んだ入江人事部長に今回の新潟支社からの急遽的な二人の異動の経緯をあらまし簡単に説明をした。
もちろん新潟支社の秘書である竹下くんに関しての経緯は少しぼかし、今回の佐々木ゆかり主導の「新プロジェクト」に於いての必要不可欠な資格保持者であるから欲しいという半分本当で半分こじ付けな理由に誤魔化し、そして、逆に資産運用に関しての青山くんの存在価値と存在意義の重要性を重点的に語り、説いていったのだ…
「なるほど、理解しました」
すると入江部長がそう応えてきた。
「うん、理解とは?」
私はその彼の返しに問い返す。
「あ、いや、つまりはその青山くんはこれからの大原常務の片腕になり得る存在なんだなぁって」
と、にこやかに返してくる。
「あ、片腕?、あ、いや、まあ、そ、そうかもなぁ」
何気ない彼のその返しの言葉の裏の鋭さを密かに私は内心、やや動揺してしまう…
そして思わず傍らで秘書然として黙って彼、入江部長の人となりを観察しているであろう律子の目をチラと確認してしまう。
その瞬間私は、この律子の目がチラと、この彼の鋭さに僅かに目を光らせた様に見えた…
さすが山崎専務の推す人材である。
「あ、そ、そんな片腕なんて…
いや、青山くんの以前のこの資産運用の伝説的な話しを聞いていたから…」
と、思わず言い訳じみた言葉を返してしまう。
ヘタな言葉は、まだ今の私の立場では命取りの危険性さえあるから…
この心の奥深くに芽生えた小さな野心の燻りさえも表には決して出せない。
ましてや、この入江くんという山崎専務からの推しの人物なら尚更でもあるのだ…
「いやぁ、僕は大原常務のこの傾き掛けている生保会社の再建計画に賛同しているんですょぉ…
で、その為にはまずは、何よりも資金、つまりは資産運用の建て直しじゃないですかぁ」
と、彼は予想外の意見を語ってくる。
「……あ、うん…」
そして律子も更に、彼を観察しているようであった。
「そしてあともう一つ、この生保会社の起爆剤的な画期的な『新プロジェクト』計画…
僕は、山崎専務からその話しを訊いた時に思わず大原常務に賛同したんですよぉ」
「…………」
私は彼のその言葉に、応えを返しあぐねてしまう…

