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シャイニーストッキング
第20章 もつれるストッキング4       律子とゆかり
 181 ワクワク…

「そう、そんな突然ばっかりだったんでね、なかなか誘えなかったのよ…
 それに昨日は突然の新潟出張だったしね」

「あ、は、はい…」

「だからさぁ、今夜ちょうどタイミング良いかなぁってさ?」
 田中課長はにこやかな笑みを浮かべてそう誘ってくれてきた。

 この田中恵子秘書課課長…
 33歳、独身、入社11年目、昨年度に課長に就任したばかりの秘書畑一筋の経歴である。

 わたしは一応、常務専属秘書就任に際してこの秘書課内の情報も精査していた…

「だからどうかしら、うん、食事だけで良いのよ、せっかくだしね?」
 この田中課長の笑みにはウラは全く感じられない。

「あ、は、はぁ…」
 わたしは迷っていた、いや、戸惑いが収まらないでいた。

「別に今夜、他の用事は無いんでしょう?」

「あ、は、はい…」
 もちろん今夜は、いや、彼と別なのだから用事はない。

「じゃぁ、行きましょうよ、近くにね、パエリアの美味しいお店があるねよね」

「え、パエリア…ですか」

「うん、そうパエリアよ、嫌いかな?」

 パエリア…もちろん大好きである。

「あ、す、好きです…」

「えぇ、じゃあ行きましょうよぉ、なかなかパエリアはさぁ一人はさぁ…」
 確かに、あまりパエリアの一人前は聞いた事はない…
 それに以前、わたし自身も一人でのパエリアを避けた記憶があった。

「ね、行きましょうよぉ」

 仮に今夜、このまま一人帰宅しても…
 さっきの彼との禁断のセックスの余韻を引きずり、疼かせてしまって、いや、あのナニかという余韻を眠れない夜を迎えてしまう恐れが予想できていた、そういった意味でもこの田中課長の誘いは気分転換になるやもしれない。

「は、はい、せっかくのお誘いだから…」
 わたしは田中課長の誘いを受けて、二人で食事に行く事にした。

 そしてそれはある意味、わたしの人生の中での初めての事であるともいえ…
 誘いを受けた時点から急に心がワクワクと高鳴り、その不安な余韻をいつの間にかに忘れさせてくれる事となる。



 

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