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シャイニーストッキング
第5章 黒いストッキングの女4 部長大原浩一
49 黒い女
間違いない、黒い彼女、蒼井美冴がこの店のカウンターに座っているのだ。
「こんばんは、大原部長さん」
「あ、蒼井美冴さんでしたよね」
「うふ、嬉しい、名前を知って頂いてるなんて…」
「い、いや、勿論ですよ」
「そう、黒い女です…」
彼女は微笑みながらそう言ってくる。
私はザワザワが過ぎてドキドキしてきていた。
「そ、そんな黒い女なんて…」
「大丈夫ですよ、そう呼ばれているのは知ってますから、それにいつもこんな服ですからねぇ」
彼女の声を聞いたのは初めてなのだから、勿論、こうして会話をするのも初めてなのである。
だがこのように会話をしてみると、たまに見かけていた印象と、いつもゆかりから聞いていた感じからの私自身が勝手に想い描いてきていたイメージとは全く一致しないのだ。
なんかもっと暗い、根暗のイメージを持っていたが、全然違うなぁ…
すると以前、笠原主任が言っていた言葉が思い浮かんできた。
…佐々木ゆかり課長とあの黒い彼女は意外に似ているんですよ、太陽と月みたいな…
そうか、月だ、あの夜空を蒼く照らす、明るい満月のイメージだ…
こういう意味だったのか。
「あれっ、確か、体調不良とか」
「あら、ちゃんと知ってくださっているなんて嬉しいかも…」
昨日は出勤途中の電車の中で急に体調不良になってしまったのだが、今日は治ってお墓参りをしてきたのだ、と、語った。
「え、お墓参り…って、あっ」
そうか、あのツーショットの写真は彼女だっ…
「…てことは…」
「そうなんスよ、美冴さんはゆうじさんの元奥様なんスよ…」
ハンバーガーを持ってきたマスターがそう間に入って言ってきたのだ。
「え、元、奥様…」
「ええ、もうノリくんったら、違います、ま、一応婚約者だったんですけど…」
結婚直前に彼が大震災に巻き込まれてしまったのだと言ってきた。
「ああ、そうだったんだ、すまない」
「いいえ、大丈夫です、それより今日は仮病でした、すいません…」
なんかこの流れの全てが意外であり、まだ現実の実感があまり湧いてこなかったのだ。
こんな出会いが起こるとは…
私はそう思いながら改めて彼女を見る。
結婚直面の彼が大震災で突然に亡くなった、そして今日お墓参りをしてきた、だから喪服の黒い服…
間違いない、黒い彼女、蒼井美冴がこの店のカウンターに座っているのだ。
「こんばんは、大原部長さん」
「あ、蒼井美冴さんでしたよね」
「うふ、嬉しい、名前を知って頂いてるなんて…」
「い、いや、勿論ですよ」
「そう、黒い女です…」
彼女は微笑みながらそう言ってくる。
私はザワザワが過ぎてドキドキしてきていた。
「そ、そんな黒い女なんて…」
「大丈夫ですよ、そう呼ばれているのは知ってますから、それにいつもこんな服ですからねぇ」
彼女の声を聞いたのは初めてなのだから、勿論、こうして会話をするのも初めてなのである。
だがこのように会話をしてみると、たまに見かけていた印象と、いつもゆかりから聞いていた感じからの私自身が勝手に想い描いてきていたイメージとは全く一致しないのだ。
なんかもっと暗い、根暗のイメージを持っていたが、全然違うなぁ…
すると以前、笠原主任が言っていた言葉が思い浮かんできた。
…佐々木ゆかり課長とあの黒い彼女は意外に似ているんですよ、太陽と月みたいな…
そうか、月だ、あの夜空を蒼く照らす、明るい満月のイメージだ…
こういう意味だったのか。
「あれっ、確か、体調不良とか」
「あら、ちゃんと知ってくださっているなんて嬉しいかも…」
昨日は出勤途中の電車の中で急に体調不良になってしまったのだが、今日は治ってお墓参りをしてきたのだ、と、語った。
「え、お墓参り…って、あっ」
そうか、あのツーショットの写真は彼女だっ…
「…てことは…」
「そうなんスよ、美冴さんはゆうじさんの元奥様なんスよ…」
ハンバーガーを持ってきたマスターがそう間に入って言ってきたのだ。
「え、元、奥様…」
「ええ、もうノリくんったら、違います、ま、一応婚約者だったんですけど…」
結婚直前に彼が大震災に巻き込まれてしまったのだと言ってきた。
「ああ、そうだったんだ、すまない」
「いいえ、大丈夫です、それより今日は仮病でした、すいません…」
なんかこの流れの全てが意外であり、まだ現実の実感があまり湧いてこなかったのだ。
こんな出会いが起こるとは…
私はそう思いながら改めて彼女を見る。
結婚直面の彼が大震災で突然に亡くなった、そして今日お墓参りをしてきた、だから喪服の黒い服…