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シャイニーストッキング
第22章 ほつれるストッキング 1        佐々木ゆかり
 40 二人の対峙…

「さぁ、大原常務どうぞ…」

美冴はそう言い、私にビールを注ぎながらも、チラとゆかりを見る――

 すると…

「………」
 ゆかりの目に、微かな安堵の色が浮かんで見えた。

「………」
 やはり、美冴の読みからの、機転であったようだ。

「…ふぅぅ……」
 
 小さく頷き、ゆかりが息を落とす…

 戻りきってはいない、だが、崩れてはいない。

「………」

「これからも、よろしくお願いしますね…」

 逸れずに見つめ、ビールを注いできた――

「あ…う、うん……」

 そう、応えるしかない。

『これからも…』

 その美冴の、言葉に…

「…あ、あぁ……」

 昨夜の様々な思惑が、私の脳裏に一気に甦ってくる。

『なんとかしてあげるわ…』

 昨夜、美冴の帰り際の、言葉…

 自分の情けなさ…

 思わず、逸らしてしまう――

 だが美冴は、そんな私等、お構い無しに…

「さぁ、松下さんもどうぞ…」

 逸らずに見つめ、ビール瓶を傾け、律子に正対し、対峙していく――

「あ…い、いや…」

 律子が、揺らいだ…

「さぁ、せっかくなんでぇ…」

 美冴の、凛とした声音…

「あ…い、いや……」
 
 律子の、戸惑いの声…

「これからも、よろしくって…さぁ……」

 美冴は、グイッとビール瓶を押していく…

「あ、は、はい…こちら…こそ…」

 微かに震える声音…

 なんとなく律子は、美冴を、警戒しているみたい――

 だが、わたしは、右側の、その二人に対して目を向けられない…

 そして、左のゆかりにも逸らしてしまう…

 いや、すべてをゆかりに見透かされてしまいそうで、目を合わせられずに、宙を見つめるしかなかった。

 すると、傍らの二人から…

「さぁ、どうぞぉ…彼、あ、大原常務を……」

 美冴の声が、微かに聞こえ…

「…これから………しますねぇ……」

 よく聞き取れず…

「え…あ………」

 だが、美冴の背中と、揺れる律子の肩の動きから…

 二人の緊張感だけが…

 ヒリヒリと伝わってきていた――


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