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シャイニーストッキング
第22章 ほつれるストッキング 1        佐々木ゆかり
 107 巡る想い…

 そう、わたしは…
 自信満々で、イケイケだった、あの六本木のクィーン『姫』であったのだからーー

 いつの間にかに、そんなあの頃の、昂ぶる思いが甦ってきていた…
 
「……さぁ、明日、朝が早いんでしょう?」
 
 そう、もういいのよ…

「あ、う、うん…」

「なのに、ごめんなさいね、押しかけてきちゃってさぁ…」
 わたしは、ティッシュに彼の精を吐き出しながら、そう言う。

「い、いや、そんな、それは…」

「………」

「あ…」
 わたしは、また、彼が謝ってきそうだったし、いや、そんな言葉は、いまさらもう聞きたくはなかったし、それに堂々巡りは、避けたかったから…
 サッと、人差し指と中指の二本指で、彼の唇を押さえる。

「………」

「む……」
 それは、もういい…そういう合図。

 そして…
「さぁ、シャワーでも浴びてきちゃえば?
 明日、早いんでしょ…」
 
「あ、うん、そうだな」

「その方が、ぐっすり眠れるわよ」
 と、彼を促した。

「うん、じゃ…」
 そして彼は、シャワールームへと向かう。

 バタン…
 寝室のドアが閉まる。

「………」

 流れる、静かな沈黙…

「ふぅぅ……」
 実は…
 自らのアタマを醒ます意味で、少しでも一人になりたかったのだ。

 わたしは一人になったベッドに横になり、彼のぬくもりと体臭の残り香を感じながら…
 そんな吐息を漏らし、今夜の想いを巡らせ、顧みる。

 どうやら、まだわたしの心には、浩一さんの入る余地は十分にあったみたいーー

 それは、急に、この苛立ちや、揺らぎ、嫉妬心がバカらしく想えてきたことが、証明してくれる…
 揺らぐ自分が、バカバカしいわーー

 そうよ、松下秘書との事なんて、よくある浮気、ほんの些細な、小さな綻びに過ぎない…
 普通の、なんてことのない、カップルによくある出来事ーー

 そう、わたしは、普通のオンナになってきたんだわーー

「ふぅぅ……」

 枕から薫る、彼特有の甘い匂いを感じながら…
 わたしは放ってあるストッキングに、ふと、目を向け、そして、触れていく。

「あ…」

 ボロボロだわ…
 そうわたしは、昂ぶりに任せ、自ら破いた。

 そのストッキングを掴み、見つめていく…
 


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