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シャイニーストッキング
第22章 ほつれるストッキング 1        佐々木ゆかり
 108 微かな香り…

 わたしは、そのボロボロなストッキングを掴み、見つめていく…
 ふと、松下秘書の、あの魅惑的なストッキング脚が浮かび、心が騒めき…
『負けない、いや、負けたくはない…』
 そんな想いが昂ぶってくる。

 そして鼻腔には、あのシャネルが…
 そう、No.18とNo.19の、二つの香りが甦ってきた。

 そうよ、そう…
 必ず、もう一度冷静になって、あのシャネルの香りのからくりの疑惑を解明するーー

「はぁぁ…」
 せっかく、少し、冷静に、心が醒めつつあったのに、また、再び、騒めき、昂ぶってきてしまう…
 
「ふうぅ…」
 わたしは吐息を漏らし、そのストッキングをベッドの端の壁際へと放り、浩一さんの甘い体臭がたっぷりと染み込んだ枕を抱き、顔を押し付けていく。

「はぁぁ、すぅぅ…」
 この甘い体臭が、わたしの心を穏やかに整えてくれる…
 騒めきが、ゆっくりと鎮まってくるようであった。

「ふぅぅ…」
 そして枕を抱きながら、寝返りを打ち、壁際を向く。

 どうしよう、泊まっていこうか、それともゴルフの邪魔にならないように帰ろうか?…
 わたしは、壁を見つめ、思案する。

 だが、枕から漂う甘い体臭の香りが、わたしの睡魔を誘ってくる…

 どうしようか?…

「………」
 壁を見つめ、考えていると…
 ふと、さっき放ったストッキングが、ベッドサイドの壁の少しの隙間に落ちそうになっているのが、目に入ってきた。

「うぅん…」
  隙間に落とすわけにはいかないと…
 わたしは壁際に擦り寄り、そのストッキングを掴む。

「ん……」

 え?…

 一瞬、違和感を感じる香りが…

「………」

 え?…
 そのストッキングを掴み上げ、鼻先を寄せていく。
 だけどこれは、わたしの脱いだストッキングだから、シトラス系の香りーー

「ん……」
 だが、微かに違和感を催す香りが…

「え、この香りは?…」

 まさか…
 一瞬なのだが、わたしの鼻腔を微かに刺激してくるこの香りは?

「すぅ、くん…」
 鼻を、壁際へと寄せ、嗅いでみる。

「えっ、これは?」
 急に、胸が騒めいてきた。

 えっ、この香りは?…

「くん、くん…」
 このベッドと壁際の隙間から、微かに漂ってくる、この香り…

 そして、それは、場違いな香りーー


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