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シャイニーストッキング
第22章 ほつれるストッキング 1        佐々木ゆかり
 110 黒いストッキング…

「………」
 でも、あり得ない…
 どうしても既成事実が思い、いや、想像がつかないのだ。

 だって美冴さんとは…
 昨日、朝からずうっと仕事してて…
 そして、常務室で一緒に、松下秘書と対峙をし…
 判明した彼、浩一さんの、あまりにも情けない姿に、わたしと共に呆れ果て…

「あっ」
 そうよ、そう…
 帰社してからの美冴さんは、健太と一緒に帰って行った。

「うん…」
 あの美冴さんと健太の、帰り際の雰囲気は…
 あの後、間違いなく二人で夜を過ごしたに違いない。

「……」
 そう、それは間違いないわ…

「あっ」
 それに、昨日の美冴さんは、黒いストッキングを穿いてはいなかったし…
 ううん、脱『黒い女』になってからは、確か、黒いストッキングは穿いているのを見た記憶がないーー

「ふぅぅ…」
 そう、だから、コレは、このストッキングが美冴さんのモノの筈がない…
 それに、わたしが知る限り、彼、浩一さんと美冴さんの個人的な接点はない、ない筈だから。

「うん…」
 それに、二人の接点なんて…
 あの美冴さんの魅力を理解した時に、わたしの嫉妬心から、全力で阻止した筈だから、今に至るまである筈がないんだ。

「……」
 わたしは震える指先で、この黒いストッキングをつまみ上げ、ジッと見つめていく。

「…っ」
 よく見ると、この黒いストッキングも、ボロボロに破れ、穴が空いている。

 それは、まるで…

「……」
 さっきまでわたしが穿いていて、脱ぎ捨てた、このナチュラルカラーのストッキングと同じ様相…
 そしてそれは、間違いなく、今夜と同じ様な、逢瀬の残骸…
 いや、残滓の骸ーー

「あ…」
 だったら、やはり、松下秘書のモノなのか?

「……」
 いや、だったら、この残り香が違うはず…
 それに、今夜、この部屋にはシャネルの残り香の影は微塵も感じられなかった。

「ん…」
 わたしは無意識に、壁に掛けてあるカレンダーを見る…
 確か、家政婦さんが月、水、金曜日に入っていると云っていた。

「……」
 だから、今日の昼間に清掃されている筈に違いないから、部屋のシャネルの残り香が消えてしまっても不思議ではないのか?…

「あ、いや…」
 だったら、この黒いストッキングからは松下秘書のシャネルの残り香がする筈だから…


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