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シャイニーストッキング
第5章 黒いストッキングの女4     部長大原浩一
 75 不思議な感覚

 ヤって…しまった…
 私はとうとう黒い女とヤってしまったのだ。

 脳裏にゆかりの顔が浮かび上がってくる、そして罪悪感が重く暗い雲のように心の中を覆ってきていた。

 成り行きはどうあれ、あの黒い女を抱いてしまったのだ…

 あの蒼井美冴とヤってしまった…

 寝落ちからの意識の覚醒と共に、もの凄い罪悪感が湧き上がってきたのだ。
 胸の奥がザワザワと騒めき始めてきていた。
 しかし意識は完全に覚醒してきているのだが、なぜかまだ夢の中に漂っているような感覚なのだ。
 美冴を抱いた事はこの下半身の快感の余韻の疼きで実感はしているのだが、なんとなく感覚が現実的ではないのである。

 なんなんだろうか、この不思議な感覚は…

 私はとりあえず今夜から今に至るまでの流れを整理してみようと考え、まずこの騒ついている心を落ち着かせようと煙草を1本取り出し、ひと息をつく。

「ふうぅ…」 
 すると、灰皿に置いた煙草からゆらゆらと立ち上がる紫の煙を見て、あの店での情景が突然浮かび上がってきたのである。

 そうだあれからだ、あれがきっかけだったのだ…
  
「あ、部長さん、私にも1本くださる…」
 美冴はそう言い煙草に火を点けて灰皿に置き、まるでその煙草から立ち上る煙を線香の煙のように見立ててるようだな…
 と、思ってその様子を眺めていたら、その直後、突然、彼女の様子が激変したのだ。

 そうた、あれから美冴の目が、様子が、まるで欲情したかのようになったんだ… 
 それがきっかけで今に至ったのである。

 偶然に出会ったのだ…
 そして決して私が美冴を口説いた訳でもなかった、なぜか、不思議な流れになったのだ。

 いやあれは、必然的な流れだったのであろうか…
 無理なく二人が同時に互いの想いを昂ぶらせたのだ。

 気づくと夢中になって逢瀬をしたような感覚が残っている…

 私は煙草を吸い、開けた缶ビールを飲みながら、そんな流れを思い返すと、ふと、ある感覚を感じたのだ。

 何かに導かれたのか…

 そうだ、導かれたのだ…

 そうなのかもしれない…

 じゃないと説明がつかないような出来事、いや流れじゃないのか…

 私はそう思い返し、不思議な感覚を感じてきていたのだ。

 まさか、あの、美冴の元婚約者の

 沢村ゆうじに導かれたというのか…




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