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シャイニーストッキング
第23章 ほつれるストッキング2       蒼井美冴と松下律子
 17 松下律子(8)

「え、お父様を……」
 わたしをジッと見つめ、美冴さんはそう囁きながら…
 また再びわたしの膝に、ストッキング脚に、手を重ねてきた。

「……っ」
 わたしはそんな美冴さんの掌の感触に、ビクッと、脚を震わせてしまった。

「………」
 そのわたしの震えを、多分美冴さんは、見逃さない…
 いや、その目は、この掌の熱さは、まるでわたしの奥底を探っているかの様。

「え…お父様を、亡くされてるの?」
 だが、美冴さんは、そう、静かに囁き、問うてきた。

「あ、は、はい…し、仕事で、ちょうど神戸に居て……」

「……そう…それは……」
 美冴さんの目に慈しみの色が宿り、わたしをジッと見つめてきた。

「………」
 そしてその美冴さんの目が…

『わたしとアナタは同じね…』
 まるで、そんな意を伝えてくる。

 そしてこの、膝の、ストッキング脚に置かれた掌の熱さからも…
『わたしたちは同じなのね…』
 まるで、そう、伝わってくるかの様ーー

 その時、スッと、美冴さんの黒いストッキング脚が、わたしの脛に触れてきた…

「……っ」
 初めての、ストッキング脚同士の触れ合う感触に、心が高鳴り…
 ズキズキと…
 微かに、わたしの奥深くが、疼きを覚えてきたーー

 置かれた指先が、熱を帯び…
 ジッと逸れずに見つめてくる美冴さんの目に、心の奥まで見透かされてしまいそう。

 わたしは、身じろぎ一つできなかった…

「……同じ…みたいね……」

「……っ」
 フッと…
 そんな美冴さんの言葉に、わたしの一瞬の呪縛が、解けたみたい。

 だけど、まだ…
 美冴さんの掌と、触れ合っているストッキング脚同士は解けてはいない。

「ねぇ、松下さん…」

「え?」

 でも、まだ、そのままで…

「ねぇ、松下さん、タバコは持っていないのかしら?」

「え?」
 なんと、そう訊いてきた。

「あ…わたし、タバコは…吸わないんで…」
 と、かろうじて、なんとかそう応えると…

「…そうよねぇ」
 そう呟き…
 膝の手だけが離れ…

「ねぇノリくん、タバコ1本ちょうだい…」
 と、カウンターにいるマスターに、そう告げた。

「はいっ、どうぞ」
 すると彼はタバコを1本取り出し、美冴さんに咥えさせ…

 カチャッ、シュボ…

 ジッポーライターで火を点けたーー



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