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シャイニーストッキング
第23章 ほつれるストッキング2 蒼井美冴と松下律子
18 松下律子(9)
カチャッ、シュボ…
「ふぅぅ…」
美冴さんは、マスターからジッポーライターで火を点けてもらい…
そう吐息を漏らし、紫煙を吐いた。
「………」
え、美冴さんてタバコを吸うんだ?
わたしはそんな彼女の横顔を見つめながら、少し驚いてしまっていた。
まさかタバコを吸うなんて…
そう、美冴さんからは、甘いムスクの香りはするけれど、あの狭いタクシー内でもタバコの残り香の気配すらなかったから…
その横顔が、意外であった。
「………」
だが美冴さんはその一息だけで、火が点き、先から紫煙を昇らせているタバコをそっと灰皿に置き…
その立ち上る煙を、ゆっくりと眺め見つめていく。
その振る舞いは、まるで何かの儀式を連想させてくる…
そんな様相に、わたしには見えていた。
「………」
そして、立ち昇り揺らぐ煙を目で追い、宙を一瞬見つめ…
わたしの方に顔を向けてきたのだ。
「あ…わたし、タバコは吸わないわよ」
そして、そう静かに呟き…
「…うん、そうね…このタバコの匂いや、この揺らぎ、広がる紫煙を眺めているとね…」
美冴さんはそう囁きながら、ゆらゆらと立ち昇り、漂う紫煙の流れを目で追いながら…
「なんかね、彼、ゆうじが煙の向こうに居る様に感じられるのよ…ね……」
「え……」
やっぱり、美冴さんにとっての、儀式そのものみたいであった。
「なんとなくね…あの煙の向こうに、ゆうじがいるような気がするの…
この紫煙の匂いも、あの人そのものを思い出させるのよ…」
「え、あ、に、匂いに?」
「うん、そう、匂い…
あ、このわたしのムスクもね、彼が好きだった香りでね…
わたしにとってのあの人の面影であり、サーファーの空気であり…」
「………」
「このお店『波道』を感じる香りでもあるのよ…」
「か、香り…」
確かにこのお店『波道』内には、いつも微かに甘いムスクが漂い…
また、さっきのサーファー達からも微かに感じた空気感。
「だからね、このお店に着たらね、いつも黒いストッキングを穿いて、こうしてタバコを1本燻らせるのよ」
「………」
「あ、でも、それじゃダメね」
美冴さんは、はにかんだ笑みを浮かべ…
「こんなんじゃさぁ、彼の死を乗り越えられたなんて…とてもいえないわよねぇ…」
カチャッ、シュボ…
「ふぅぅ…」
美冴さんは、マスターからジッポーライターで火を点けてもらい…
そう吐息を漏らし、紫煙を吐いた。
「………」
え、美冴さんてタバコを吸うんだ?
わたしはそんな彼女の横顔を見つめながら、少し驚いてしまっていた。
まさかタバコを吸うなんて…
そう、美冴さんからは、甘いムスクの香りはするけれど、あの狭いタクシー内でもタバコの残り香の気配すらなかったから…
その横顔が、意外であった。
「………」
だが美冴さんはその一息だけで、火が点き、先から紫煙を昇らせているタバコをそっと灰皿に置き…
その立ち上る煙を、ゆっくりと眺め見つめていく。
その振る舞いは、まるで何かの儀式を連想させてくる…
そんな様相に、わたしには見えていた。
「………」
そして、立ち昇り揺らぐ煙を目で追い、宙を一瞬見つめ…
わたしの方に顔を向けてきたのだ。
「あ…わたし、タバコは吸わないわよ」
そして、そう静かに呟き…
「…うん、そうね…このタバコの匂いや、この揺らぎ、広がる紫煙を眺めているとね…」
美冴さんはそう囁きながら、ゆらゆらと立ち昇り、漂う紫煙の流れを目で追いながら…
「なんかね、彼、ゆうじが煙の向こうに居る様に感じられるのよ…ね……」
「え……」
やっぱり、美冴さんにとっての、儀式そのものみたいであった。
「なんとなくね…あの煙の向こうに、ゆうじがいるような気がするの…
この紫煙の匂いも、あの人そのものを思い出させるのよ…」
「え、あ、に、匂いに?」
「うん、そう、匂い…
あ、このわたしのムスクもね、彼が好きだった香りでね…
わたしにとってのあの人の面影であり、サーファーの空気であり…」
「………」
「このお店『波道』を感じる香りでもあるのよ…」
「か、香り…」
確かにこのお店『波道』内には、いつも微かに甘いムスクが漂い…
また、さっきのサーファー達からも微かに感じた空気感。
「だからね、このお店に着たらね、いつも黒いストッキングを穿いて、こうしてタバコを1本燻らせるのよ」
「………」
「あ、でも、それじゃダメね」
美冴さんは、はにかんだ笑みを浮かべ…
「こんなんじゃさぁ、彼の死を乗り越えられたなんて…とてもいえないわよねぇ…」

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