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シャイニーストッキング
第23章 ほつれるストッキング2       蒼井美冴と松下律子
 20 蒼井美冴(10)

「松下さんの気持ち、よぉく分かるわぁ…
 それにわたしも…」
 どうやら、この松下さんに、思わず同調してしまったみたい。

 彼、大原常務のあの甘い体臭と、亡きお父様の匂い、香りが同じ…
 それは惹かれ、魅せられてしまうに違いないとーー

 それにわたしは松下さんとの遣り取りで、彼女をなんとなく理解できた様な気がしていた。

 間違いない…
 やはり松下さんは、わたしと同じ類いのオンナである……と。
 

 それは膝に触れている掌からと、絡ませたままの脚の熱さからも、彼女の情愛の深さが伝わり、感じられてきたのである。

 掌からは…
 まるで吸い付くかのような、ストッキングの感触を感じ。

 絡まる脚からは…
 敏感な感覚が伝わり。

 そして極め付けは匂い、香りへの拘り…
 それ等全ては、わたしと合致するーー

「わかるわぁ…
 それにわたしもぉ、あの甘さにはすっかり魅かれちゃうからさぁ…」
 それによる、松下さんへのシンパシー……
 そんな思いから、つい、言葉が緩んでしまった。

 だから松下さんは、そんなわたしに対しての想いをぶつけてきて…
「で、でも…
 そ、それってぇ、あ、あのゆうじさんには…」
 裏切りではないのかと。

 ついさっき…
『ゆうじを感じるから…』と、タバコに火を点け、紫煙の揺らぎに魅入っていたわたしの言葉に矛盾するのでは…
 と、松下さんは訊いてきたのだ。

 だけど、それは矛盾するようで違うから…

「ううん、もうね、松下さんには隠さないけどねぇ…」

「え…」

「そう、わたしは松下さんが思っている様に、確かに、彼、大原常務と関係あるわ…
 ううん、あったの…」

 わたしは、ここで一つの嘘を付いてしまった…
 それは、関係があった、という過去形の言葉。

 いや、松下さんの彼への情愛の深さを知ってしまったが故からの嘘…
 傷つけたくないが為の、無意識な想いからの嘘である。

「それはね…話すと長くなっちゃうから…」
 わたしがそう言うと…

「えっ」
 今度は松下さんの手が、わたしの膝に強く置かれ…
 絡ませていた脚を、彼女がグイッと強く絡め直してきたのだ。

 そして…
「長くていいから、話して、ううん、ちゃんと教えてください」
 強い目の色を浮かべ、ジッと見つめ、そう言ってきたのである。


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