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シャイニーストッキング
第23章 ほつれるストッキング2       蒼井美冴と松下律子
 23 松下律子(11)

『うん……わたしね、不妊を理由にね、離婚させられちゃってさぁ……』
 わたしは迷っていたーー

 美冴さんのことは知りたいのだが、ほぼ初めて言葉を交わすのに…
 果たしてここまで、訊いてしまっていいのだろうか、と、迷い、揺らぎ、騒めいていた。

 あまりにも図々し過ぎるんじゃないのか?
 いや、それよりも、失礼が過ぎるんじゃないのか?…と。

 だけどそんな迷いを上回る、美冴さんのわたしを惹きつける言葉と、ややハスキーな声音にも、すっかり魅了されていた…

 そして、それは…
『………でね、そのゆうじがね、すごいストッキングフェチでさぁ…
 わたしは、ここでゆうじにフェチな性癖をね、刷り込まれちゃったのよね…………』
 その言葉に、完全に魅き込まれてしまったのだ。

 ストッキングフェチーー
 その性癖を刷り込まれーー
 それは正に、わたしとあの人との関係そのものであり…
 今の、わたし自身の有り様でもあるから。

 そしてーー
 
 美冴さんも、わたしと同じ…
 ううん、わたしが、美冴さんと同じ類いのオンナなんだ。
 
 だから、あの人とも?……
 そんな興味が尽きずに、わたしは更に美冴さんの話しに魅了され続けてしまっていた。

 そして、このストッキングフェチという共通点と…
 お互いに触れ合っている脚と手から、なんとなく美冴さんのオンナの情愛の深さが伝わってきて、また…
 もっと知りたい…
 もっと訊きたい…
 もっと美冴さんというオンナを知りたい…
 そんな思いが止まらないでいたのである。

「………でね、ゆうじはね、当時、最高のトップアマチュアサーファーでね………」
 そして、美冴さんは、彼がサーファーとしてどれだけ凄かったのか、そんな人となりと、彼の歩み、遺した実績を話してくれる。

 そのお話しは、いや、彼、沢村悠司は…
 わたしの想像の遥かに上回る凄い存在であった。

 そんな彼を突然、あの大震災で失った…
 その美冴さんの衝撃と傷心は、わたしの想像にも及ばないであろう。

 そしてわたしもやはり父親を亡くしてはいるのだが…
 当時はもう、その父親とは物理的な距離が開いており、同じ傷心、衝撃とはいえ、わたしは美冴さんの比ではないとも思われてしまうくらいであった。

「……でね、それから二年引きこもりよ……」


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