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シャイニーストッキング
第23章 ほつれるストッキング2       蒼井美冴と松下律子
 26 蒼井美冴(13)

「ふぅぅ……でね、彼に抱かれ…
 ううん、抱かれたのは必然的な流れだったわ………
 わたしの自律神経の暴走を彼が抱いてくれ、抑えてくれたの…
 うん、それは彼の優しさであり、愛情…」

「……」
 そこまで話すと、松下さんはカクテルを一口飲み、わたしを見つめてきた。

 彼女はずうっと黙って、わたしの話しを聞いていたのだが…
『黒い女』という言葉が出た辺りから、一瞬、目が揺らぎ、静かに反応してきた。

 それはどうやら、この以前のわたしの『黒い女』とい呼称とその意味を知っている…
 という反応に違いなかった。

 だからわたしも、そんな彼女の揺らぎに気付き、わざと探る意味でも、彼の名前を敢えてフルネームで呼称をし、そして…
『抱かれ、抱いてくれ、愛された……』
 とまで、わざわざ話しをしたのである。

 そう…
 わたしは、この今までの静かな松下さんの反応に、少しイラついてしまったのだ。

 だから敢えて、彼女の心に波紋を投げ掛けようと、彼のフルネームを呼び、自律神経の暴走の話しをわざわざしたのである…
 そして『黒い女』で反応を読み、探ったのであった。

 だって、ゆかりさんから聞いた話しによれば、松下さんは、山崎専務絡みからの秘書採用という事であるらしいし…
 それに、今のわたしの愛しい彼である武石健太は、その山崎専務の甥っ子であり、その絡みの流れからのわたしの主任採用であったから。

 それに、わたしの勘が…
 昨日、今日のゆかりさんの激しい動揺の揺らぎの裏側には、間違いなくこの山崎専務の流れの影響があると、囁いてもきていたからである。

 だからよけいに、この見た目で冷静な松下さんを、その心を揺らがせ、波紋を波立たせたくなってしまっていたーー

 それに、どうしても…
 彼、大原浩一という存在感を抜きにしては、わたし、ゆかりさん、そしてこの松下さんの三人のこれまでの由縁は避けられないから。

 だって、わたし達三人の女は…

 彼に、愛されているのだからーー

「あ、愛情って?」
 松下さんはカクテルを一口飲み、心を落ち着かせたのだろう…
 そう、訊いてきた。

「え、それは、愛情…
 わたしは、ううん、わたしも、彼に愛されている…いや、愛されていたってことよ…」
 わたしは敢えて、愛されていた…という過去形にした。

 

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