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シャイニーストッキング
第5章 黒いストッキングの女4     部長大原浩一
 77 3人の女

 私はそう想うことにしたのである。
 そしてそう想った途端に胸の騒めきは治まり、急に気持ちも落ち着いてきたのだ。
 しかし今度は、急激に、もの凄い罪悪感が再び顔を露わしてきたのである。

 あの愛しいゆかりの顔が、あの声が、そしてあげくにはいつも私に見せてくるあの妖艶な痴態までもが、脳裏に、いや、心の中にまでも浮かび上がってきたのであった。

 私はこの今夜までの4日間の事を思い返していく。
 勿論、いつもの恋人であるゆかり、それにいくら専務の画策とはいえ、現実的に関係を持ち、そして昨夜互いの想いを昂らせた銀座のクラブの律子、そしてこの不惑な魅力に半年近くも魅了されていたこの黒い女こと美冴。
なんとこの4日間で、この3人の女達と関係を持ち、そして抱いたのだ。

 例え導きだろうが、偶然だろうが、ゆかりの愛を裏切った事実には間違いないのだ、いや、今夜の美冴のことだけではない、そう、一昨夜、昨夜と、突然に現れた銀座の女、律子のこともそうなのだ…
 完全にゆかりに対する愛情の裏切り行為なのである
 最近は特にゆかりの私に対する愛情がかなり深くなっていると自覚して、更にそのことを喜んでいる自分がいる、が、しかし、いくら据え膳食わぬわだろうが、不思議な真夏の夜の夢の導きだろうが、裏切り行為には相違ないのだ。
 その事に関しては全く言い訳が立つ道理もないのである。
 そんな罪悪感が私の胸を締め付けてきていたのだ。

 しかしその反面、もう一人の自分が、何も飾らない、隠さない、ある意味これが本当の自分の本性なのかもしれない想いが顔を出してきた。

 いいじゃないか、お前は独身なのだ、不倫の関係ではないんだ、気にする事はないんだ、ただ単にモテているんだ、モテ期なんだよ…
 と、そう私の心に語り掛けてくるのである。

 同時に無理なく3人の女を手に入れたのだ、これこそ若い頃に夢見ていた、ハーレム的にモテたい、という事ではないのか…
 これが本当の自分の本性の声であるのかもしれない。

 こうして仕事で成功をして、地位を高めた結果のご褒美なんだよ…

 正に悪魔の囁きである。

 確かに若い時分、都内に就職した時に
 金、地位、女…
 と、夢見ていた時期は確かにあった。
 そしてそれを求め、己の全てを掛けて必死に仕事をした時期もあったのだ。

 しかし…





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